FORM_Story of design(... Kato Takashi weblog)

反復と反響

京都でCenter for COSMIC WONDER がキュレーションを手がけたエキシビションをみた。場所は京都駅からみて北の方、京都精華大学内にあるギャラリー、ギャラリーフロール。

「ORGANIC RELATIONSHIPS〜反復  反響する次世代へ」は、7組の作家によるCOSMIC WONDERのアートプロジェクトだ。

出展作は、 Jue and Anoaは現代美術家の前田征紀とサウンドアーティスト田中真由美のユニットで、宙に吊るされた二つのスピーカーによるサウンドインスタレーションを展示。フィールドワークにより蒐集された環境音とアコースティック楽器による演奏がサラウンドシステムにより空間に反響する。木村友紀は摩天楼の風景のなかにくりぬかれた人の眼による、まばたきとフラッシュがループする映像作品を展示、前田征紀の「Light-Sound System」では、天井から吊るされた片面シルバーで着色された木片で空間を空疎で満たした。Jay Chunng&Taeki Maedaはハンス・ウルリッヒ・オブリストの1000ページにおよぶインタヴュー集によるアーティストブックを、写真家のAnders Edstromのインクをこぼした様を写し取った写真作品は、本来「染み」になるこぼれ出したインクを液体状に、モノ自体である物質のまま、瞬間を記録する装置である写真をつかって固着させることに成功している。Stephen Sprottはアンビエントな映像作品を、それと、ニューヨークを拠点に活動するアーティスト、ジェイ・パーカー・ヴァレンタインの作品をみることができる。

これらはすべてCenter for COSMIC WONDERのフィルターを通さなくても作品として充分な力をもつことができるが、Center for COSMIC WONDERのフィルターを通すことでより強固な力をもつことになる。

余談だが、京都精華大学ではこの10月には本展の主役でもあるCOSMIC WONDERの前田征紀や、芸術家・建築家・批評家らを招き、空間に関する連続レクチャーシリーズ「可能性の空間」を開催し、身体、環境、建築などを主題に空間を巡る議論を展開するそうだ。


ORGANIC RELATIONSHIPS〜反復 反響する次世代へ」の会期は、2011年10月15日まで。
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言葉は燃えているか?
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茅場町の雄、森岡書店で写真家・鈴木理策さんの写真展が開催中です。
鈴木さんの写真展を森岡書店で開催することは、少し前にうかがっていて楽しみにしていたのですが、昨日丸の内を中心に開催していた建築展UIAの帰りにフラリと茅場町まで足を伸ばしたところ、開催中の鈴木理策さんの写真展をみることができました。
会場にはちょうど鈴木さんも在廊されていて、鈴木さんの写真の魅力について、そして震災における写真家の考え方について少しお話をうかがう機会を得ました。

今回の作品展は銀座の現代アートギャラリー「ギャラリー小柳」の協力のもと実現したとのこと。森岡書店のような小さなギャラリーで鈴木さんの写真を間近にみるなど、めったにない機会です。オーナーの森岡さんに感謝です。

展示されている作品は、緑や花、水辺の景色など、夏も終わりかけの、今の季節にぴったりな風景写真でした。とくに印象的だったのは、湿地帯のちいさな水たまりに植物が自生している様を写し取った作品。あたりの静けさが緑や自然の豊かさとともに伝わってくるような写真でした。
風景をどこか独特な視点から写し取る鈴木さんの写真は、自然をめでる日本人ならではの心と、古今東西の現代アート作品と同等な、作品としての強さが同居しています。単なる風景写真にはない、空間のなかに充満している物質を写し出した写真だからでしょうか。

展示作品は、「言葉は燃えていた」という、ロシアの詩人アルセーニイ・タルコフスキーの詩編と、その息子で映像作家であったアンドレイ・タルコフスキー(「ノスタルジア」や「サクリファイス」などの作品で有名)の作品に導かれて撮られてそうですが、写し出されたものの背景にある濃密さは、そんな言葉と映像の強さに由来していたのかと思うとなんとなく腑に落ちるところがありました。

森岡書店では一般発売に先がけて、鈴木理策さんの写真がおさめられたアルセーニイ・タルコフスキーの詩集「白い、白い日」(Ecrit)も入手することができます。
会期はあさって10月1日まで。僕ももう一度訪れてみてみたいと思っています。ぜひ多くの人にみていただきたい写真です。


鈴木理策展 「言葉は燃えていた」
アルセーニイ・タルコフスキーについて

〜2011年10月1日(土)13時〜20時

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周縁と中心
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DESIGNEAST02 が今日から始まります。今年も日本中からデザイン、建築、アート、ファッションなど、さまざまなゲストが3日間大阪に集結します。僕も明日には大阪入り、最終日である3日目のTALK05では、grafの服部滋樹さん、建築家の谷尻誠さん、オープンソースなプロダクトデザインを手がけるNOSIGNERさん、DESIGNEAST主宰の多田智美さん、原田祐馬さんとご一緒させていただきます!。

毎年異なるテーマを掲げ、トークやワークショップなどを行うDESIGNEAST。今年のDESIGNEAST02のテーマは「周縁と中心」。中心とは文字通り真ん中に位置するもののこと。周縁とはその周辺にあるもののこと。
昨今の都市のイメージでいえば、中心が弱体化すれば空洞化したといわれ、周縁が衰退すれば過疎化といわれる。それは現状、ほぼすべての都市や街にも言いえていて、まさに近年、日本中が周縁中心問題のさなかにいるといっても過言ではない状態だ。
先の東日本大震災、3.11におこった震災以後、周縁中心問題はよりいっそうくっきりと現れ、中心はいびつな輪郭をもち、周縁の存在はある種の犠牲の上に存在していることが明らかになった。
だが、周縁の豊かさはこの国の真の豊かさというべきもので、周縁から中心へ、その価値の遷移ははかられるべきだろう。周縁も中心も互いが互いを支え合いながら同じ方向を向くときなのかもしれない。

写真は昨年の様子。といってもイベント終了後の打ち上げのあとの三本締めのあと。今年もこんな楽しい夜が毎晩繰り広げられることでしょう。
大阪のみなさん、今年も宜しくお願いします!


http://designeast.jp

DESIGNEAST02  周縁と中心
会期:2011年9月23日(金)〜9月25日(日)
会場:名村造船所跡地 / クリエイティブセンター大阪
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男祭り


個人的な本にまつわる知的データのアーカイブス、『何に着目すべきか?』終盤の山となった、男祭りの巻。

左側からユトレヒト江口さん、ランドスケーププロダクツ中原慎一郎さん、六次元中村さん、Glyph.柳本浩市さん、エイトブランディングデザイン西澤明洋さん、建築家谷尻誠さん、アーティストの古賀充さん、ラウンダバウト小林さん。

小林さんのしりとり本からはじまって(最後はゴクミ語録)、中原さんのまっとうに人生を生きた人びとの記録の書と詩の朗読、中村さんのいまをポジティブに生き抜くサバイバル本、柳本さんの3.11以後にこそ読み返してみたい本セレクション、西澤さんの元気がでる起業家本、谷尻さんの建築家の本棚、考えることを考える本、古賀さんの紙をめぐるリサーチのアイデアツール。

そして、圧巻は江口さんの歴代有名冒険家によるエベレスト登山に関する意識調査。江口さんは、「ちょっとそこまで」とエベレスト登山に向った冒険家の石川直樹さんの著書タイトルにインスピレーションを受けて、エベレストの標高8,849メートルを走る「ご近所8,849メートル走破の旅」をプレゼンテーション。音声付きの憔悴しきっていく自身のセルフポートレートが会場のスクリーンに大写しになると会場全体大爆笑。そして感動。

ご協力いただいたみなさま、どうもありがとうございました。


プロジェクトデータ2011:「何に着目すべきか?」
2011年9月3日(Sat)
時間:13:00-22:00
場所:アサヒ・アートスクエア4Fホール
入場無料

http://asahiartsquare.org/?p=2537
http://sosososo.com/approches-de-quoi/

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Approaches to What?

 いよいよ明日9月3日土曜日 a-cita café special program 2011「何に着目すべきか?」開催です。

素敵なゲストの皆さんとの本をめぐる対話が、隅田川のほとりアサヒ・アートスクエアにて繰り広げられます。
続々とゲストも発表されています。ランドスケーププロダクツ中原慎一郎さんもご出演決定しました。中原さんには、市井の人びとの営みをめぐる言葉が綴られた書籍などをご紹介いただきます。森岡書店森岡さんの昭和レア本コレクション、柳本浩市さんの3.11以後の今だから読んでおきたい本、アーティスト古賀充さんの「素材としての本」、写真家今井智己さんの男気溢れる少年の心をもった選書、デザイナー熊谷彰博さんの考え方が変わり行動が変わる本、ユトレヒト江口宏志さんの山をめぐる本、建築家谷尻誠さんの建築家の本棚、西澤明洋さんの独立を目指す若者が元気がでる本のセレクトなどなど。

会場では当日参加できない出展者の方の選書もご覧いただけるような仕掛けを用意しています。編集者林央子さんの人生の深さや日本人の心を感じさせる本、漫画家で素晴らしい文章も書かれる小林エリカさんが選ぶ「命がけの本たち」、六次元中村さんの「ニューサバイバル」キーワードに選んだ本、編集者柴田隆寛さんのなぜだか無性に読みたくなる本、武井実子さんの唯一無二な生き方参考書。選書リストをファイリングしたファイルは会場でお楽しみただけます。マスターファイルのコンセプトデザインは橋詰宗くん!こちらもお楽しみに!

ふらりとご来場いただき、さらっと本について対話をしながら、会場に偶然居合わせたゲストやお客様が、ドリンクやおつまみを片手に交流できる場作りをめざしています。ぜひお越し下さい! 


「何に着目すべきか?」
2011年9月3日(Sat)
時間:13:00-21:00
場所:アサヒ・アートスクエア4Fホール
(浅草・吾妻橋ほとりに建つフィリップ・スタルク設計のビルです
入場無料

http://asahiartsquare.org/?p=2537
http://sosososo.com/approches-de-quoi/
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