FORM_Story of design(... Kato Takashi weblog)

「何に着目すべきか?」

9月3日に浅草のアサヒ・アートスクエア(通称スタルクビル)にて「何に着目すべきか?」という、本と人にまつわるイベントを仲間とします。

フランスの小説家でエッセイストでもある、ジョルジュ・ペレックの「毎日起きては繰り返すもの、平凡なこと、日常的なこと、明らかなこと、ありふれたこと、月並みなこと、並以下のこと、あたりのざわめき、慣れきったこと、それらをどう説明すればいいのだろう。どう問いかけ、どう記述すればいいのだろう。」(「何に着目すべきか?」)という言葉をたよりに、ゲストやホストが選んだ本をめぐって、ゆるやかに繋がる創造の場。

会場となるのは飲料やビールなどでおなじみのアサヒの施設とあって、会場ではサーバーで飲むビールなどのお酒類も販売します。
下町浅草らしい地元のベタな総菜等を肴に、「角打」スタイルの立ち飲み、地べたに直接座って飲む直飲みと、くつろいだ雰囲気のなか、とびきり素敵なゲストをお招きしてのトークイベントです。

写真は、昨夜の会場下見風景。
普段はダンスやライブなども行なわれるイベント会場として、プロの設備の整ったこの施設に、本をめぐるゆる〜い空間が誕生します。

13時から21時までの長丁場ですが、いつ来場しても、何かが起こっている、そんな場をつくれればと思っています。

本と人、ものづくりに興味がある人であれば誰もが楽しめるイベントになるはずです。浅草散策、東京スカイツリー探訪をかねて、ぜひご来場ください。


「何に着目すべきか?」
日時:2011年9月3日(土曜日)13時〜21時
会場:アサヒ・アートスクエア(最寄駅:浅草駅)
入場無料

現在決定している当日ご出演いただく予定のみなさま (※随時更新いたします)
加藤賢策さん(デザイナー)斎藤歩さん(編集者)大原大次郎さん(デザイナー)江口宏志さん(ユトレヒト)伊藤暁さん(建築家)谷尻誠さん(建築家)長内綾子さん(デザイナー・キュレーター)古賀充さん(アーティスト)福林靖博さん(図書館職員)柳本浩市さん(コミュニティディレクター)森岡督行さん(森岡書店)西澤明洋さん(ブランディングデザイナー)熊谷彰博さん(デザイナー)中村邦夫さん(6次元)今井智己さん(写真家)山岸剛さん(写真家)afficeさん(キュレーター)assistantさん(建築家)氏原茂将さん(キュレーター)宮城太さん(アーティスト)

選書のみでご参加いただく皆様もいらっしゃいます。そちらの選書リストは当日会場にて掲示、発表する予定です。


企画・運営:橋詰宗・木村稔将・古賀稔章・加藤孝司
主催:アサヒ・アートスクエア
協賛:アサヒビール株式会社

http://sosososo.com/approches-de-quoi/

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SUNDAY
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先週、オープニングにお邪魔した新しいスペースが明日正式にオープン。
メインとなるのはカフェレストラン「SUNDAY」。ランチから夜遅くまで営業しているようなので、ご近所さんはもとより、わざわざ訪れてみたくなるようなおいしい料理と素敵な空間でした。

今回のオープンに合わせて全面的にリノベーションしたビルには、ほかにもギャラリーが数軒と骨董のお店、アンティークショップなどが入居。先日のSUNDAYオープニングの際に同時にお披露目されていました。

僕とSUNDAYの関わりは、先日アイテム撮影をさせていただいたジュエリーブランド「PLANT PLANT」さんとの出会いから。その名前の通り植物をテーマにしたジュエリー作品は、自然をモチーフに素直にデザインされていて、素材にもこだわった上質なジュエリー。PLANTには工場といったもうひとつの意味もこめているようです。とても素敵な作品なので、いろいろな人にみてもらいたいなあと思っています。
オープニングのこの日は、畠山直哉さんの写真が飾られたコーナーの一角にジュエリーショップを開かれていて、作品もお披露目されていました。現代アートのキュレーターやコレクターのみなさんに大人気の様子でした。

またこの空間のもう一つの目玉は、カフェやショップスペースなといたるところに展示されている現代アート作品や、異様な存在感を放っている植物たち。それもそのはず、その植物たちはプラントハンターとして人気の造園家・西畠清順さんがセレクトしたものというからうなずける。まるで太古の生き物のようななまなましさを持った植物は、彼の目利きならではのもの。最近、代々木に東京のアトリエを構えたという彼は、オープニング当日もハッピーな笑顔をふりまきながら植物のそばにそっと佇んでいた。その植物が入れられたアルミの巨大なボウルがこれまたすごい。新幹線やロケットの先端部分をつくっているという、東京大田区の板金職人さんの高度な絞り(北島絞り)の技術がいかされた作品です。植物の大きさに合わせて大小さまざまなものがあるので、こちらも要チェックです。清純くんは超多忙なはずなのに、来週は東日本大震災の被災地に直物を植えにいくというから本当にアグレッシブだ。この日は他にも偶然の出会いがあった。清純くんの補佐をつとめる小田くんとの出会い。彼はなんと生粋の広島人だ。

写真は、SUNDAYのスペースにあった現代アートが飾られた部屋。田中功起さんの絵画作品と、プラントハンター西畠清順さんのプラントのコラボ。田中さんは現在ヨコハマトリエンナーレ2011にも参加し、がぜん注目を集める現代美術家です。この絵がまた良かったです。
オープニングの日はものすごい人だったので、あらためて訪れてまずはランチをしてみたい。


SUNDAY
東京都世田谷区池尻2-7-12
03-6413-8055
http://sunday-cafe.jp/
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本郷館
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文京区本郷の歴史ある下宿屋「本郷館」。
このエリアにはおもむきのある木造建築による昔ながら民宿や、全​国からの修学旅行生を迎え入れる旅館がいくつも建ち並ぶエリア。
1905年建造の木造3階建て建築は、今年で建造106年をむか​えた。明治の時代から大正の関東大震災、東京大空襲を生き延び、​何度も取り壊しの憂き目にあいながら今に至る。

東京大学や東京藝術大学も近く、この本郷館にも歴代数多くの学生​たちが居をかまえたという。なかには著名人も若いころ多く宿をと​り、歴史ある佇まいは文学や映画の舞台にもなった。なかでも「稲​妻」、「放浪記」など、戦前の女性の生き様を自身の生き方になぞ​らえ鮮烈に描いた小説家林芙美子が、若い頃をこの下宿宿ですごし​たことは良く知られている。

僕も学生のころからしばしば本郷館のあるこのエリアには自転車で​訪れ、坂道の途中に建つこの木造建築を真下から見上げたものだ。​坂道をくだり、本郷館を裏手から眺めると、二方を傾斜地に囲まれ​、この建物が東京大学などを擁する本郷の高台の上にたつことがわ​かる。
先ごろ、老朽化を理由にいよいよ取り壊しが決定したとの報を受け​た。先日訪れたときは、居室の木製の雨戸も閉ざされ、静かにその​最期を待っているようだった。

大きなビルなどがほとんどない小さなスケールの建物が多いこのエ​リアで、本郷館の3階建て延べ400坪の巨大木造建築は、都市的​な圧倒的スケールを持ちながら、木造建築独特の温かみを兼ね備え​た町のランドマークともいえる名建築であった。
写真は、本郷館の有名な正面からの景観ではなく、言問通りにつながる坂道の眺め。坂道の途中にたつ巨大木造建築の迫力が伝わるだろうか。
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仮設住宅のかたち
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森林資源保全のプロジェクト「more trees」による、被災地に木造仮設住宅を送るための​支援プロジェクト「LIFE311」。このプロジェクト​は先の東日本大震災で壊滅的な被害を受けた被災地周辺の​地域産材を使用し、地域の人びととともに木造仮設住宅を​つくることを支援するとともに、地域活性化の試みとして​発足したそう。

more treesとしての支援地に選ばれたのは、もともと林業​が盛んな岩手県住田町。震災後いちはやく町として仮設住​宅を建設することを決定した町であるという。

今回はタイミングがあわず仮設住宅の内部を実際に見学す​ることができなかったが、解体作業を見学をすることがで​きた。
イベント終了後30分も経たないうちに屋根は大方が取り​外され、その手際の良さに驚くとともに、「家」とはかく​も簡単にシンプルにできているのだとその時思った。それ​はまたすぐれた職人さんによる高い技術のたまものでもあ​るのだが、仮設住宅の屋根の上で、あるいはその室内で、​再び彼の地で構築できるように丁寧に手際よく解体してい​く姿に僕は見惚れてしまったのである。

その後、more treesのメンバーでもある友人に、仮設住宅内に家具​として設えられていた坂茂さんデザインによるちゃぶ台、​間伐材等の木材を原料とするペレットを燃料とするストー​ブも見せてもらうことが出来た。ペレットストーブは灯油​と比べて燃料費を節約することができ、温暖化の原因とな​る二酸化炭素の排出を削減することができる次世代暖房器​具。
はっきりとした未来へのビジョンをもち、それを実現する​ためには、目的に適うことは複合的に実行していかなけれ​ばならない。LIFE311というプロジェクトには、森​を健全に育成していくための間伐材の有効活用、被災地に​不足している仮設住宅の支援、そして雇用の創出と、あら​ゆることが同時進行しているところがすばらしい。

個人的には先に見せていただいた、建築家吉村靖孝さんに​よる被災地に送る住宅のプロジェクト「エクスコンテナ・​プロジェクト」のコンテナハウス同様、平屋という建築と​、住まいのあり方は、町に対しても気負いがなく素直で、​人間にとってもっともプリミティブな住居だと思い、なか​なかいいものだなあと思った。
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