Hiroshima 2020 Design Charretteの第一回イベントとなる、公開シャレット、そしてシンポジウムが6月6日広島市まちづくり市民交流プラザにて行われました。
シャレット提案者の皆様、ならびにシャレット参加者の皆さん、お忙しい中ゲストとしてお越しいただいた古谷誠章先生、岡河貢先生、ボランティアスタッフとして多大なるご協力いただいた皆様、御協賛いただいた企業・個人の皆様にはこの場をお借りしてあらためまして心より御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。
そして当日シャレット会場にお越しいただいた広島市民の皆様、そして全国からこのためにお集りいただいた親愛なる友人の皆さん、どうもありがとうございました。
皆様においては6月6日の興奮の余韻を胸にいだきながら、それぞれの自分たちの街に戻り、広島、2020年、オリンピック、建築、デザインについてのあらたな思いに胸を熱くされていることかと思います。当日の運営においては個人的には司会の役割、進行などの点でいたらないところも多々ありました。今回の経験をうけ次回以降の運営に良いかたちで反映させていければと考えておりますので今後ともご指導のほどどうぞ宜しくお願い申し上げます。
イベントへのご意見ご感想などは本ブログのコメント欄やメールなどでも構いませんので御教授いただけましたら以降のHODCの運営、そして個人的には実行委員メンバーとしての役割と方向性に良いかたちで反映させていただきたいと思っています。
なお,当日の模様はTwitterのハッシュタグ、
#hodcもしくは
#HODCのなかに、当日HODCに参加していただいた皆さん、興味をもっていただいた皆さんのリアルタイムでの発言としてまとめられておりますのでご活用いただければ幸いです。
今後イベントの詳細やレビューなどは、8月に広島・東京で開催予定のエキシビションと同時に発行予定のフリーペーパーや、こちらのHODC公式ブログ、HODC実行委員メンバーの個人ブログなどで発表させていただく予定でありますのでこちらもご期待ください。
スタッフや観覧で当日ご参加いただいた皆様で、ブログで感想を書いたよ、という方がいらっしゃいましたら、コメント欄などでご連絡いただけましたら嬉しく思います。
模型や提案資料を作成している各提案者の皆様方のテーブルをまわりながら、ありきたりな言葉になりますが本当に感動しました。日本中からここに集まっていただいた提案者の建築家の皆さんや、シャレット参加者の学生さんが、2020年、広島、オリンピック、都市、建築、デザインをキーワードに、それぞれのテーブルで議論、そして頭をフルにはたらかせ、手を動かしながら考えている姿は胸を打つものがありました。
以下は、HODC実行委員メンバーとしての個人的な感想や印象になりますが、シャレット参加者の皆さんのその心意気にただ感動するだけではなく、自分も参加者の一人として、皆さんに気づきやきっかけを与えることの出来る存在であったかと考えています。
今回もシンポジウムの司会進行役ををつとめさせていただきましたが、時間配分や進行の面での不徹底により、議論の時間を充実させることが出来なかった。これまでプレイベントで積み重ねてきた2020年の広島のビジョンや、そこでのオリンピックの役割などのビジョンを、今回の議論では展開することが出来なかったことなど、個人的な未消化とも反省点ともいえることがありました。
市民参加中心のプレイベントでは、「2020年」、「オリンピック」、そこでの「暮らし」というテーマでHODCの方向性を示すことはできても、議論を建築内に限れば、今回のように広島を舞台にした地方都市における建築が示すビジョンや、建築が果たす役割、そしてそれを実現するための建築家としての個々の方法論を議論を通じて導くことは難しいことを実感した。
個人的にはこれまで広島・東京で繰り返しおこなってきたプレイベントでやってきたような議論を、今回シャレットでご提案いただいた2020年ヒロシマオリンピックの具体的なビジョンに接続し、そこで示された建築のビジョンが2020年の私たちの暮らしや、広島の過去にどう繋がっていくのかをHODCとして議論していきたい、という希望があった。
そんな議論に接続していくことがあの場所では必要であったのかはおいておいて、そこら辺の考えを建築家の皆さんに伺ってみたい、と考えていました。
それはさておき、今回のシャレットでの各チームの提案は、短時間で構想されたにも関わらず、広島の固有性とオリンピックの特殊性に正面から向き合った素晴らしいものばかりであった。5時間というあらかじめ限られた時間設定と、そこで何をするのかという前提が明確にあるから極めて具体性の高い作品が生まれる。
藤村さんチームの案はオリンピック開催を契機に広島の街そのものを再編しようというHIROSHIMA2.0を提案し、超高密度小型地方都市モデルをスタディした。オリンピックというものを通して考える国土計画の問題、地方都市の新しい都市モデル、オリンピックを通じてどのような広島像を描けるかを模索。ヘクタールあたり1000人くらいの完結型のコミュニティ、超高密度都市を作ることで都市が現状抱えるさまざまな問題が解決できると仮説をたて、市街地拡大、肥大化してしまった都市が抱えるさまざまな問題を解決する手段としての、超高密度なハイパーコンパクトビレッジという広島市の未来像を描いた。
オリンピック後に何を残すのか、日本列島改造を視野にいれた「愛と力」の提案によってオリンピック開催を契機に広島という都市の構造転換をはかる。
伊藤暁さんチームの286本の都市軸を市民全員で作り、オリンピックでベネフィットを実現するための広島がもつ歴史と、都市の体験を踏まえた上でのアイデンティティの創出という案。いっけん、荒唐無稽な286本の軸という案も、市民自体がオリンピックを契機に自分たちの街のアイデンティティを自立的にみつけ、そこに何かしらのルールを決めていく建築家が介入していくことで、都市は新しい像をあらわすようになるかもしれないと思った。
広島の都市として被爆の体験を通じ、この街に固有の中心にむかっていく力を目にみえるかたちでデザインし、都市にアイデンティティを埋め込む広島出身の西尾さんチームや、オリンピック終了後に負の遺産を残さない、風船のようなバブルのような構造によるエアーストラクチャーシステムを考案した小川文象さんチームの案もなるほどと思わせた。
成瀬友梨さん猪熊純さんチームのオリンピックをきっかけにした具体的な都市再開発ではななく、デザイナーとして広島の都市の魅力を伝えるための観光化を推進。オリンピックを広島アピールのための舞台にする、世界中の都市にちらばる情報発信のためのオリンピックサテライトの建設を提案した。オリンピック後の広島の発展につながるラディカルな観光開発を実現することで、オリンピックをきっかけにモノを作らなければ、ただのお祭りで終わってしまうという懸念を払拭した。
オリンピックを4年に一度都市の中でおこるphenomenon=現象として位置づけ、まだ名前も付けられていないような、モノの価値が変わる瞬間をオリンピックという現象をきっかけに考えた谷尻誠さんチーム。4年に一度だけ建築が都市のなかで現われる方法として、空気を使った都市の屋根のような建築を提案した。