「母の友」
先日のBBQでお友達になった方から本が届きました。初めて目にする本だけどどこか懐かしい。それは表紙に描かれた酒井駒子さんのイラストのせいだろうか?
その表紙をめくると、冒頭からしていきなり近ごろ活躍がめざましい写真家の梅 佳代さんによる子供をテーマにしたストリートスナップがどーんとあらわれる。
送っていただいた2009年10月号の特集は、表紙にも記されているように「どうして写真を撮るんだろう」。子どもをテーマにした雑誌と聞いていたのだが、近ごろ僕のなかで再燃してきている写真が特集されているとは、偶然にしてもなんともタイムリーである。
写真をテーマにした特集記事の内容は書店で実際に手にして読んでいただくとして、その特集の中で3ページにわたってインタヴュー記事が掲載されているのが、今注目の写真家・若木信吾さんであることも僕にとっては嬉しいかぎりである。しかも若木さんは僕も大好きな写真機であるライカ使いの名手と呼ばれ、僕の手元にある写真誌「PHOTOGARAHICA」の若木さん特集号には、砂浜でライカM3ブラックを手にした若木さんのポートレートが掲載されている。
連載記事をみても、「わたしの好きな絵本」(今号は料理研究家でエッセイストの堀井和子さんが登場)、スタイリストの岡尾美代子さん写真・文による「雑貨の友」、「マグナムが撮った 世界の親子」、コンドルズ主宰近藤良平さんの「体操の友」といったページまで見所が満載。
その他にも絵本作家の神沢利子さんの暮らしぶりをつづったルポルタージュ、文筆家・大竹昭子さんのお母さんの写真をテーマにしたエッセイも、掲載されたセピア色の写真の雰囲気とあいまって、懐かしくも優しく心にしみいるようで読みごたえがある。この内容の濃さ、あつかうコンテンツの幅の広さ、執筆陣の充実度で定価五三〇円というのも実にお財布にやさしい。
表紙タイトル下には「幼い子を持つおかあさん、子どもにかかわるすべての人に。」と書かれているが、当たり前な暮らしの中にある優しさや、気づかい、思いやりの心に気づくためにもぜひいろんな方に手にして見て、読んでいただきたい本だと思った。
僕は「母の友」のページをパラパラとめくりながら、こんな優しさの感じられる本にこそ、自分が思う「デザイン」、「愛」、そして「記憶」をテーマにした読みものを書いてみたいのだなあ、となんとなく思った。
福音館書店
P.S. Iさま、やさしい本のご紹介どうもありがとうございました。次回はCONTAXとLEICA M3で撮り比べをしましょう!