FORM_Story of design(... Kato Takashi weblog)

アダム・シルヴァーマンと日本 .2.
そら

陶芸には土をこね、整形し、下絵や上絵を施し、釉をかける、人智のおよぶ作業の他に、釜で焼くという人手から隔離された未知の作業がある。
それだから陶芸の中に偶然生まれた美は他力の美とも呼ばれ、それは柳宗悦が唱えた民芸の基本的な美の概念ともつながる。

アダムが住む街ロサンジェルスにある工房アットウォーター・ボッタリーはそんなアダムがたった1人で切り盛りする作陶するためのスタジオだ。そこには作陶のための道具が身近にそろい、あたかもパーソナルな秘密という謎を含んだ錬金術のための基地のようにもみえる。
妻でアーティストのルイーズ・ボネットとの競作になる陶器に刺繍を施した作品は、制作数は少ないものの秀逸でアダムの代表作の1つだ。そこにはカリフォルニアという広大でネイティブなスピリチュアルな感性に満ちた土地のニュアンスが如実に反映されていて興味深いものがある。

ゆくゆくはこんな街中ではなく、ローカルな人と自然が共存する陶芸以外になにもない環境でのストイックな作陶のためだけの環境を持ちたいと願うアダム。今後50年をかけて継続していくアダムの陶芸を巡る旅に終わりはない。

彼の作る作品にはぬぐいがたい人の手が作り出す痕跡のようなものが染み付いている。
それは1人の人間が力強く生きることによってしるされる生きることの証でもある。私たちがアダムの作品に見て触れ、実際に使用して楽しむことが出来る事実は、彼と同時代に生きる私たちの小さな奇跡でもある。


*写真は今年の春の益子の空です
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...man-made objects.
man
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...I need Sweets...
I need Sweets

at collex LIVING. Produced by Still Life
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...Dick van hoff...Salone del mobile...2-2.
dick

ディック・ファン・ホフはオランダの名門デザイン・アカデミー、アイントフォーフェンで教鞭も執る。その独自のデザイン理論には信奉者は多いと聞く。アイントフォーフェンの卒業生、21世紀と17世紀を繫ぐ時代の扉を開くポエジーにあふれたシンデレラテーブルで話題のデザインユニット、デマーカスファンのイエルーンもその一人だ。
ディック・ファン・ホフのデザインするものは、装飾的ではなく機能に忠実に見え、時に機能がそのまま形になったようなプロダクトが存在する。

今までにもヘラ・ヨンゲリウスやマルセル・ワンダース、昨年にはスタジオ・ジョブをフューチャーした展示を見せたロイヤル・ティヒラー・マッカム。今年コラボレートしたディック・ファン・ホフの「WORK」は、磁器とそれと異なる素材である木=オークをマテリアルに使い、一見ちぐはぐな中にも自然素材を使用することによってプロダクトに全く新鮮な驚きを与えることに成功している。それが老舗陶磁器メーカーであるマッカム社が作るということに少なからず意義があるように思える。

1920年代のベークライト製のデスクランプを思わせる2つの磁器製のランプは、オークの支柱の素材の肌理が美しく際立ちモダンな印象と、磁器製の台座とランプヘッドの素材感は現代的なあでやかさをもっている。フラワーベースは磁器の光沢あるテクスチャーとオークの質感が見事にマッチし、フラワーベースそのものが静かな存在感を放っている。そこにはまさに素材そのものの用途とその組成を生かした機能的な美があり、それはファインアートのようなデザインとは一線を画した美しさだ。
またそれらが展示されるプライベートなワークスペースを思わせる空間構成も見事。磁器のしっとりとした存在感はこんなにも空間そのものを変えてしまうのかと驚かされる美しさが見受けられるのだ。
秋には100%デザインでの出展も決まっているオランダのロイヤル・ティヒラー・マッカム社。ディック・ファン・ホフの「WORK」がその目玉になることは間違いがないだろう。
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...Dick van hoff...Salone del mobile...2-1.
HOFF

今年もミラノ・サローネが開催されている。
イタリアのタイルメーカー、ピザッツアからはハイメ・アヨンの巨大なオブジェやジョブのスケール感の消失したオブジェが展示され話題を呼んでいる。エスタブリッシュド&サンズからは昨年賛否の論争を巻き起こしたモリソンのクレートにファミリーが、ドリアデは深澤直人やスタルクの新作、ヴィトラからはヘラ・ヨンゲリウスの新作ワーカーチェアの美しいバランスの2シーターが発表されている。ドローグからは昨今話題のヨーリス・ラーマンのボーン・チェアが展示されたり、アイントフォーフェンを卒業したばかりの若手の作品も並んでいるようだ。

オランダの老舗陶磁器メーカー、ロイヤル・ティヒラー・マッカムが今回発表したのは、初期ドローグでも活躍しているオランダの理論派デザイナー、ディック・ファン・ホフの磁器とオーク材をモチーフにしたシリーズである。花瓶、置時計、コンテナー、2つのデスクランプからなるシリーズは「WORK」というコンセプトの名の下に収集されたコレクションだ。

ディック・ファン・ホフは1971年生まれのデザイナー。1997年にドローグから発表した磁器のシェードを持つポーセリンランプが話題になった。ポーセリンランプはアムステルダムのロイドホテルの内装にも使われている。ロイドホテルは1921年に建てられたレンガ造の建物をリノベーション、ヘラ・ヨンゲリウスやヨルゲン・ベイ、クラウディ・ヨングストラら自国のデザイナーや、ジャスパー・モリソンやマルティ・ギセらのインテリアを起用していることでも知られる。全体のインテリアデザインは気鋭の建築集団MVRDV。リノベーションは市が中心となって行われ、気軽に立ち寄れるというレストランもあるというからアムステルダムを訪れる際は必ずや立ち寄ってみたい場所のひとつだ。

*写真は今年のティヒラー・マッカムとディック・ファン・ホフのポスターの一部です。

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アダム・シルヴァーマンと日本 .1.
益子のい

自らのライフスタイルをその生業(なりわい)に投影すること。アダム・シルヴァーマンを語るときに、彼があのアメリカ西海岸のストリート寄りのファッションブランド、XLARGEの創設者の1人であることを引き合いにだすまでもない。2007年春の今、彼はそのストイックでタフな作風の陶芸家として世界的に知られた存在だ。
ファッション業界のビッグビジネスの中で彼が学んだことは、あらゆる人と物との複合的な関連の中で自分というものを鮮やかに保つための手段と、その反動としての全ての工程を1人で取り仕切る、極めてシンプルなライフスタイルという今のその生き方なのかもしれない。
アダム・シルヴァーマンは1963年ニューヨーク生まれの陶芸家だ。大学では建築を学び、店舗設計なども手がけたことがあるという。

土に触れ、土をこね、土から与えられるものを懸命に模索するその過程は、その土が採られた土地そのものを知る過程にほかならない。
だからアダムが2005年に初めて日本の益子を訪れ、敬愛する陶芸家の1人である濱田庄司の轆轤や彼が使った窯、庄司が世界中から集めた工芸品を間近にみ、実際にその益子の土に触れたことはアダムに資料や書籍から得られ以上の感銘を与えたことは想像にがたくはない。
日本で得た刺激を受け自身の作品に反映させるアダム。伝統は時に自由な創作のための足かせとなることがあるが、こと陶芸の道においてそれはその土地を知るための有用な手がかりになる。

先日益子で出会ったアダムは自身の陶器作品の底面、高台内に益子の益が刻まれた作品を見せてくれた。そこには消費という言葉ではかたづけることのできない、情緒的な人間らしいヒューマニズムの精神が溢れている。
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..Adam Silverman in Mashiko. Starnet zone.
Adam Silverman. Atwater pottery http://www.atwaterpottery.com

Adam Silverman. Atwater pottery http://www.atwaterpottery.com

2007.4.14(sat) - 5.6(sun) Starnet zone, mashiko
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.Vika Mitrichenka...Grandmother's Treasures Grandfather's Predilection.
ses

Vika Mitrichenka Cibone Gallery Art Exhibition vol.5
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...art school...2...Konstfack..

150年以上の長い歴史を持つコンストファックと呼ばれる王立芸術大学KONSTFACK: University College of Arts, Crafts and Design.は陶芸や版画・ガラスといった工芸、家具・メタルワーク・建築といった広い意味での造形、その他にもグラフィック・デザインやテキスタイルなどの高等教育を行う機関として様々な教育プログラムが用意されている。中でも概念的な教育よりも、実際的な物作りのプロセスが重視され、ワークショップや校内に併設されたスタジオでの課題への取り組みが重視される点に於いて、物つくりをする一人の人間教育と豊かな育成が5年間の内で養われる。

卒業生には古くはミッド・センチェリー期のセラミック作品で知られるスティッグ・リンドベリやカリン・ビヨルクイスト、スウェーデンのコンテンポラリー・デザインを代表するデザイナーであるヨナス・ボーリンなどがいる。
スティッグ・リンドベリはコンストファックを卒業の後、グスタフスベリ製陶所に入社、同社のデザイン・ディレクターを務めるなどした後、校舎移転に伴い1958年より1970年までの12年間コンストファックで教鞭を執っている。卒業生が後に同校の教授に就任することも少なくな、くその意味でも優秀な人材育成を証明しているといえる。

コンストファックはスウェーデンに於けるミッドセンチェリー期を支える才気溢れる陶芸家達を数多く輩出した事にも注目するべきであろう。第一次大戦後ヨーロッパには人間の手仕事に基づく工芸を標榜するデザイン施設が幾つか生まれている。ドイツには1919年から1923年のグロピウスとイッテンがいた初期バウハウス、1930年代のアメリカには当時同国に亡命していたエリエル・サーリネンのクランブルックなど、当時の風潮を反映させた人間の手仕事の復権、合理的な豊かな生活に根ざした日常品の開発、そしてそれぞれの国独自のモダニズムの解釈に基づくデザイン運動が起こりつつあった。
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theFLOWmarket..200pcs....2-1.

theFLOWmarketは2006年ニューヨークで毎年開催されるICFF(International Contemporary Furniture Fair) Editors Awardで優れたコンセプトをもった展示に与えられるブース部門で最高賞を受賞した。
近未来に必ずや必要とされうる商品、をコンセプトにきたるべきその時代における日常品を無機質なパッケージデザインを以って提示している。それは消費者の認識を皮肉り、時に鼓舞するような感覚で、本当に今の状態で良いのか?この世のあり方の、そしてその行き方が正しい未来を導くための最良の手段であるのか、を我々に問いただす役割をはたす。

theFLOWmarketはまず美しいデザインを売るためのファクトリーである。まるでストック場のような棚に並べられているのはクリーンなイメージのテトラパックやアルミ缶、紙のボックスや薬品が入れられているような半透明のコンテナや液体入れ、チューブ状のケースなど。それらにはシンプルなフォントで文字が打たれた白いシールのラベルが貼られる。それらが並べられているさまは最近人気のデザインショップを思わせるセンスの良さだ。いやセンスの良さそのものを販売しているショップのようなデザイン優先の研ぎ澄まされた感覚である。

現在考えられているようなかたちでの世界の持続可能な成長に疑問を呈し、西洋社会に対するものとしての発展途上国、過剰な消費主義、人権問題、肥満やストレス、生命そのものの多様性の減少などに問題の露呈をみる。

Stress Killers

..who has stress killers?
souvenir from denmark.
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