料理は人間の生活を豊かにするための最前列に位置するもっとも重要な要素である。私たちは人生のなかの重要な楽しみのいくつかを食に委ねているといって過言ではない。
もし食べ物が楽しみに彩られた美しいオブジェでなかったら?それはいくらか味気のない人生とはいえやしないだろうか。
2004年にロッテルダムにオープンしたProefはあらゆる意味で衝撃的なレストランである。そのコンセプトとなるアイデアは気鋭のフードデザイナーが手がけたレストランであるという以上に、私たちの食文化、そして食に対する概念を根底から覆してしまいかねない驚きにみちていたからだ。
マライエは危険を冒すことを恐れず新しい道を進んでいる、と同じオランダのデザイナー、ヘラ・ヨンゲリウスは彼女を評価する。
ヘラ・ヨンゲリウスの元で一年間デザイナーとして働いた経歴を持つマライエはProefプルーフというコンセプチュアルな食文化に対する新鮮なアプローチで、今や世界中が注目するフードデザイナーである。
1978年生まれというから今年29歳になるマライエ・フォーフェルサングは、2000年にオランダのデザインアカデミーアイントフォーフェンを卒業。アカデミーに在籍当時から新しいデザインに対するアプローチを模索していたという彼女は、人間にとって日常もっともみじかなもののひとつで、みじかであるがゆえにおざなりになりがちな食に対する正当なアプローチを試みる。
彼女の問いかけはこうだ。人は家具をデザインし洋服をデザインする。車をデザインし人が住まうための家をデザインする。そんなにも人のためのデザインをしているのになぜ食をデザインする人はいないのか?
食を完璧にコントロールすることは、言い換えれば人間の実存の領域に踏み込むことだ。それはデザインするという人の営みがいまだ到達していない、ある意味では不可侵な領域に踏み込むことでもある。
伝統と格式は時に文化をがんじがらめに縛るしがらみを生み、文化の健全な育成を阻むものになるときがある。食は西と東、時と場所を選ばず至るところに遍在する人間の根本概念のことである。
http://www.proefrotterdam.nl/