今回のエキシビションの為に作られた作品は、ヘラ・ヨンゲリウスの色への好みを強調する赤とグリーンの釉と絵付け、それとグレイとブラウンの粘土が使われている
陶磁器に様々な変化をもたらす色の研究は、有史以来連綿と続いている人間の焼き物に対する憧憬の美的な観点に於ける重要な課題を秘めている。
磁器はふぞろいなエッジを与えられ、それがまさしく人の手の営みを経て作られた道具である事を強調するかのような荒々しさに満ちていながら、繊細な人間による計算に基づいたしたたかささえ備えている。
2006年の11月18日から2007年の1月18日まで、オランダにあるロイヤル・ティヒラー・マッカムのクラフト・ストアで開催されている展示は「Porcelain colour research」と名付けられ、今回のエキシビションの為のヘラ・ヨンゲリウスとTichelaar Makkumとの協働の コンセプトは、色についての綿密な調査に基づいた深い洞察から成り立っている。
そこにある色は明らかに強固な意志によって配色され、自然界の営みからは外れたところでの確固たる居場所を確保しているようにみえる。
それを見る者の想像力の有無をさえ試すかのような挑発的な素っ気無さに満ちた色。
素はヨンゲリウスのTichelaar Makkumとの今に続く長い協働の源になっている、ポーセリンB-setテーブル・ウエアである。通常より密度の低い中で高温で焼かれるその磁器は、窯の中でいびつに歪み、焼き物本来の不確定要素という魅力を強力に孕んだ野心的な作品である。
焼き物はそれが焼かれる土地とそこに根付いた風土を反映し、郷土の匂いを内包しながら時をかけて培われてきた歳月を恵みに、そこに暮らす人々の手によって丁寧に作られてきた。それだから焼き物にとってそれが作られる場所は重要性を帯び、それを捏ねる人間のエゴを超えたところで土着性を帯びてくる。
我々が焼き物に抱く底知れぬ魅力は、そんな人の手と知を離れたところでの大地の営みに対する畏怖の念に他ならない。
だからこそ今回のヘラ・ヨンゲリウスとTichelaar Makkumの色付けされた磁器に対する包括的なリサーチには、作品に対する愛着以上にマッカムという土地から掘り起こされた陶土や陶石に対する深い愛情と畏敬の念が感じられるのだ。
http://www.jongeriuslab.com/
http://www.design-italia.it/inglese/dettaglio.htm?tipo=news&idx=487