FORM_Story of design(... Kato Takashi weblog)

...christien meindertsma...checked baggage2...
cb2

メンデルツマはアムステルダムのオークションで購入したこれら3264のアイテムを、その形態的特徴と用途、そして具体的な色と物質的分類とに分け、独自の方法でリサーチする。
このアート・ブックの為に選りすぐられた没収品は色と形に特徴はあるものの、上着のポケットの中にそして家庭のダッシュボードの中に、我々が日常使用している何気ない風景の中にこそあれ、格別暴力的なシーンに適応する為に開発されたものばかりではない。
それが恐ろしくも不可解にも感じられるのは、見慣れた日常の中に潜む悪意と呼べるようなものが、もの本来の価値と使用目的とかけ離れたところで、異なった意志と価値を有してしまうことの意味を暗黙裡に我々が気付いているからに他ならない。  

それらスキポール空港で没収された危険物と見做された搭乗客の持ち物は、あの9.11以降暴虐に満ちた人間の悪意が世界中に拡散する事を未然に防ぐ為の、あまりにも神経症的な自己防衛本能から生まれた人間の深層心理を探り当てる為のメンデルツマの一つの明確なリサーチの賜物である。
何気ない日常品がテロリズムを喚起させるという、それが暗喩するものは極めて重大で、ひとりクリエーターのアート作品の為のコンセプトであると看過することの出来ない21世紀を生きる我々のための重要な命題を孕んでいる。
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...christien meindertsma...checked baggage...
cb

クリスティン・メンデルツマは1980年オランダのユトレヒト生まれというから現在26歳の若きクリエーターである。
2003年にアイントフォーフェン・デザイン・アカデミーを卒業し独立、2004年に発表された『CHECKED BAGGAGE』は、驚きと確信に満ちたアイデアで一躍クリスティン・メンデルツマの名前を有名にしたコンセプチュアルなアート・ブックである。
カッターナイフやはさみ、サバイバル・ナイフ、フェイクのピストルといった一目でそれと分かる危険物や、先の尖ったキーホルダーや爪きり、子供用のフォークとスプーン、ワインオープナー、それら意味ありげなオブジェといった偶発的な、だが危険物になりうる日用品がアイテムごとに整然と並べられ写し撮られた様は、ページをめくる度に不可解な、だが確信に満ちたテロリズムの脅威をとつとつと伝えていて、ものと人との関わりを根底から脅かす・・・
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...MARTI GUIXE...spamt at trico...
spamt


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...Hella Jongerius...Kleuronderzoek op porselein door...
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Van 18 november 2006 tot 18 januari 2007 bij koninlijke Tichelaar.Makkum.

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...Joris Laarman....Poetry of concrete...2-1.
jr

ラジエーター(放熱機)は効率的に熱を放出する事がその機能に於いて重要であり、一言で放熱を増大するとは、ラジエーター本体が空気に触れる面積を大きくする事である。
暖房器具としてラジエーターに求められる事は、ふく射熱と自然対流を生み出す事で、2003年ドローグよりディストリヴュートされた電力ヒーター、『ヒート・ウエイヴ』はその装飾的なフォルムが、通常のラジエーター・システムにも増して表面積を持つ事から、装飾的なフォルム持ったヒーターは理に適ったオブジェとなる。

ラジエーターは据え置き型ヒーターという性格上、一年を通して必要・不必要に関わらず部屋に設置されている事が普通で、他の暖房器具と比べて目に見えないところにコンパクトに収納する事を前提としてデザインされていない。
それだからこそラジエーター・ヒーターは部屋の重要なインテリアとしての側面も求められる。

ヨーリス・ラールマンは1979年生まれというから今年で27歳の若者である。オランダの中部にある小さな町Borculoで生まれ、18歳でデザイン・アカデミー・アイントフォーフェンでデザインについての専門的な講義を受け始める。2003年にはドローグ・デザインで装飾的な壁付のヒーター「ヒート・ウエーヴ」を発表する。この年にロッテルダムの港湾地区に仲間達と共に自らのアトリエ、ヨーリス・ラールマン・ラボラトリーを立ち上げている。このロフトはレム・コールハースのオフィスや、友人デマーカスファン、クリスティン・メンデルツマ、リチャード・ハッテンらがシェアしており、グラフィック・デザインやプロダクト・デザイン、それらあらゆるクリエーション豊かな才能の持ち主達が自由闊達な活動を展開している。

ラーマンがデザインした豪奢なロココ・モチーフを与えられた壁の為のオブジェは、まさしくオブジェとしての役割を積極的に担い、実用と装飾という我々が生活する上で求める、美的で快適な生活を標榜するプロダクトとしての側面を強調する。

Reinventing Functionality=機能性を徹底的に再構築すること、と名付けられた『ヒート・ウエイヴ』はコンクリートのポエムと呼ばれる事もあり、ヨーリス・ラーマンの創作に於いて現実的であることと、創作的な空想とも言える詩的な風情をプロダクトに内在させる事は、矛盾しない。
過去のプロダクトが抱えている、モダンとポスト・モダンである事に拮抗する事のうちに秘めた迷いは、新世代のダッチ・デザイナーのとってはさして重要な、おもんばかる事柄ではないようである。

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ART FORMS IN NATURE-Karl Blossfeldt
kb

AT SOURCE
2006.09.30〜2006.10.29


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...ineke hans...daily dreams....3-3.
photo: Herman van Ommen

それが置かれる環境にまで配慮されたプロダクトは極めて稀であるとしても、本来物とはそこに置かれてあることによって成り立つ物本来の価値を有しており、それが物としてただそれだけで他の物や環境から切り離されて考えられうるものでは無い以上、たった一つの物と言えども環境に配慮の欠けたもの、そして環境への配慮に欠けた物つくりは、それが置かれる状況に拒否反応が表れたとしても不思議な事ではない。

前出の通り、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アート在学中の作品がハビタ社の目に止まり、インハウス・デザイナーとしての経歴はスタートする。
夏と冬のコレクション・シーズンの為の作品製作は創造的なノルマを課せられた激務であり、彼女はそのシーズンごとに10の作品を店頭に並べる為の試作品を60あまりもデザインをするという。

その様な経歴を経て今我々が目にするイネケ・ハンスというダッチ・デザインの系譜は、ものの根幹を知覚する為のデリケートな、人間本来が有する防衛本能の表出に支えられているといっても過言ではない。

イネケ・ハンスが物作りに於いて携えているところの重要な概念は、『人と物とを取り持つ皮膚感覚の知覚能力』であるという。
『機能と実用性』は彼女の物作りにあっても重要さを持つ、人々が日常の生活の中での使用に耐え、そして美的に有用だと思えるものの事である。
しかもそれぞれの価値観にマッチした生活の為のツール作りは決して容易な作業ではないが、イネケは様々な歴史からの引用や生活様式の再解釈を含め、自らの価値観に偏る事のない、普遍的な価値に置き換えることが可能な、有用な道具作りに従事しているという手応えを得る事の出来るプロセスを獲得しているようだ。

我々が今見ることの出来るほんの一握りの有用な道具は、人々が日常の中に宿した生活への執念の中に見ることが出来るが、もしそれが一人の生活の為の道具作りに長けた同じヒューマニズムの概念を持った人間によって作られている事が理解されるのなら、それを使用する者、そしてそれを創出する者双方にとってこれ以上幸せな事はないのではないか?


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...ineke hans...daily dreams....3-2.
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インハウスデザイナーとして働いた経歴は、彼女にストイックな物づくりを教え、それはオーディナリー・シリーズの中に見た目にそれと分かる形となってはっきりと表れている。

オーディナリーのコンセプトは明確なかたちを伴って、その後の彼女の作品に様々な影響を及ぼしながら、繰り返し作品上に表れるモチーフとなる。

2000年に発表されたキッズ・ファーニチャー『ブラック・ビューティーズ』は、子どもが遊ぶには一見不似合いな『黒』一色の、褐色のファーニチャー・シリーズである。
それは例えれば、イケアには様々な色に満ちたキッズ・ファーニチャーが溢れているが、もしその中にイネケ・ハンスのハートのかたちにくり貫かれた取っ手の付いたブラック・ビューティーズを放り込んだのなら、子どもたちにも増してまず大人たちが飛びつきそうな、クールで、それでいて愛らしい魅力に充ち溢れていると言える。

彼女のユニークなコンセプトメーカーとしての才はこんなところにも顕れており、実に明快なコンセプトが心地良い。
2002年にはそのモチーフを発展させたアイロニーに充ちた、逆説的な黒い陶器のシリーズ、「Black Gold Modular Porcelain」を発表する。

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...ineke hans...daily dreams....3-1.
ineke

インハウス・デザイナーである為には、企業の理念を理解し、市場のニーズを引き出し、企画やマーケッティングそしてエンジニアなど、社内での調整を計りながら、マーケットに受け入れられる商品を、ライフサイクル、シーズン、時にはそれに類する短いサイクルで消費される商品の開発を、時代と共に共生する価値観の中で、変換し移り変わる事に耐え、埋没することを受け入れつつ作りだしていかなければならない。

オランダ人が時に自分の欲望に率直であっても、時に打たれ弱く、たった一つの失敗で取りかえしのつかない挫折を味わう繊細さを兼ね備えている事は良く知られている。
イネケも複雑なオランダ人気質を併せ持ったユニークなデザイナーであるようだ。

オランダのユニークなデザイナー、イネケ・ハンスはハビタ社のインハウス・デザイナーとして勤務した経歴を持ち、現代オランダの華やかなデザイナー達のように、アイントフォーフェン・デザイン・アカデミーで学び、ドローグで作品を発表するという経歴を持たない。

彼女が独立したての1998年に製作したオーディナリー・テーブル・セットは幾つかの異なったバリエーションを持ち、それらの一つ一つが独立したユニークな実用性を重視した、実にエコロジカルで、芝生の生えた庭にぴったりな風貌を呈している。
リサイクル・プラスチックをマテリアルに使用したファーニチャーやプロダクトは今時珍しくもないが、オーディナリー・テーブル・セットは彼女が民族資料館で見つけたプリミティヴなテーブル・セットの彼女なりのリ・デザインである。

素材を置き換えることは彼女にあっては、単にコンセプトの問題ではなく、創作活動の思考の中で切実にもたらされた、プロダクトの声なき声、それらのマテリアルへの反映であり、素材へのあくことの無い探究心がもたらしたただ一つしかない結論なのである。

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