ジュディス・ドゥ・グラウと、双子の兄弟イエルーンとヨープ・バーフォーベンはオランダ南東部にあるアイントフォーヴェン・デザイン・アカデミーに在学中、共に農場に暮らしながら、それぞれがお互いのデザインの為のユニットを共同で設立することの必然性を感じていたという。
彼らは連名で卒業制作を製作し、ロッテルダムの港の傍にDemakersvan(=The makers of ) というデザイン・スタジオ設立する。時にユニットで、ある時はソロ・プロジェクトでの内外のクライアントの為の作品作りは、デザイン・アカデミーを卒業したての若者としては奇跡的に大きな成功を収めつつある。
しかし彼らは大企業やミュージアム、そして特定のクライアントのニーズに応える為だけの作品作りをするつもりはないという。むしろ彼等は独身の男達がおくる豊かなデザイン・ライフのストーリーに貢献したいのだという。
そして今彼らは低コストの作品製作の為に、インドでの生産の為のリサーチを行っている。
3次元のコンピュータファイルによって、プログラミングされたデータ・システムにより制御された木材加工の為のフライス盤によって、バーチ材のプライウッドが繊細かつ正確に削り出されていく。
ハイテク機器のコンテンポラリー・デザインへの応用は、クラフトの技術が思いもしなかったような高度な加工を可能とし、デザインそのものが人間が支配するところの機械の加工のプロセスの中からこそ発見される、と彼らは信じている。
それは各々(おのおの)の思考の限界が発想の限界であるのと同じように、デザインの才も思考の限界におのずと左右される事になることと等しい。
その事にまず自覚的になり、機械の加工のプロセスの中に見出される、それ自体の加工の応用の拡張は、彼らの思考の限界の裾野を押し広げていく。
そこにこそハイテクとクラフトとの魅力的な融合が果たされるというわけだ。
イエルーン・バーホーベンが思い描くプライウッドの三次元曲面の加工の夢、17世紀のテーブルをモチーフにデザインされた『シンデレラ』(Industrialized Wood table)は、数値制御装置付き(CNC)のフライス盤5台を使って、実に57の層になったバーチ材のプライウッッドを削り出す事の内にある。
デザインのコンセプトをデジタルの数値に置き換え、その精度の限界まで突き詰めて思考し、機械の限界に左右されるのではなく、機械の限界を導き出すことを新しい時代の人間とクラフトのあり方に結びつけて考える。
その時こそ機械はわれわれ人間と共に働く手工芸の為の道具になる。
ジュディス・ドゥ・グラウと、双子の兄弟イエルーンとヨープ・バーフォーベン、世界的な権威であり、デザイン界の目利き、マーク・マクドナルド氏も早くから目に掛けているようであり、今後目が離せぬ若手である事には間違いがないようである。
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