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巡礼の地
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「AKIRA」などの漫画でお馴染みの大友克洋氏の原画だけを展示した、大友克洋GENGA展が先日終了した。3331という、僕にとって比較的身近なスペースでの開催ということもそうだったが、その空気を感じたいがために、チケットもないのに、会期中、ついつい何度も3331に足を運んでしまった。

会場となった3331の、アニメの聖地のひとつである秋葉原に近いことと、元中学校舎とその前の公園という、公立の学校には良くあるのびのびとして立地条件がそうさせるのか、展覧会場と前庭とが一体となったこの場所を、さながら大友克洋ワールドの神聖な「巡礼の地」のような場所と感じたのは僕だけではないだろう。この場所をある思いをもってひとときでも共有すると、それが肌身に感じられる。そのことが今も本展の余韻として残っている。
あらためて思えば、アニメの聖地でもある秋葉原の周縁に、3331という現代美術のギャラリーの集合体があることも、ある意味象徴的な話だ。なぜなら、原画がGENGAと見慣れない英語の文字で綴られることで、それが「教室」のようなギャラリースペースで展示されること、漫画がそれが依拠する物語から離れ、一点物の作品に解体されることとあいまって、あくまで個人的なうがった一面的な見方だけど、アニメから美術へ、その意味の変換を連想させるからだ。

普段は現代美術などが展示されるギャラリーを使用して行われた本展は、普段よく知っている細長く入り組んだこの場所の、全ての白い壁や柱の面という面を塗りつぶしていくように大友氏の原画が覆い尽くしていた。それはあたかも本展の展示作品の核心ともなっていた「AKIRA」の漫画の世界で、超能力をもった鉄男少年の自己抑制が効かなくなった自我がぶくぶくと肥大化し、自らを丸のみして空間を埋め尽くしていく様を連想してしまった。

本展でAKIRAの単行本6巻分の全原画2300枚以上を収めるために作られたという、オープンAが設計したモダニズム建築のような鉄とガラスのケースも、大友ワールドのクールさを体現したようでかっこ良かった。そして、そこにストーリーとは無縁にランダムに収められた「GENGA」のボリュームに、一編の漫画を構成する仕事量の膨大さに圧倒された。この仕事量に対し、今さらながら、ストーリーを夢中で追いながら、一息飛ばしに先に先にと、一気に読み進んでしまうことへの罪悪感めいたものを感じてしまう。

会期は二ヶ月弱、観覧は完全予約制ということもあり、見逃した方もいると思うので、写真がたっぷり掲載されたこちらのレポート記事が本展の追体験となれば幸いです。


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