FORM_Story of design(... Kato Takashi weblog)

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コンテンポラリーフォトグラフィとは何か?
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一. ホンマタカシ氏のコンテポラリーフォトグラフィをめぐる考察

今夜3331で聴いた「TOKYO FRONTLINE amana photo collection project Awarding Review and Talk」の審査委員である写真家のホンマタカシ氏と篠山紀信氏のコンテンポラリーフォトグラフィーをめぐる小さな議論が興味深かったので、現在金沢21世紀美術館で開催中の「ホンマタカシ:ニュードキュメンタリー」展をみた感想を含めメモしたい。
その議論とは本日まで3331で開催されていた「TOKYO FRONTLINE」主催によるフォトアワード公開審査におけるもの。公開審査には途中からの聴講だったのだが、篠山氏とホンマ氏によるコンテンポラリーフォトグラフィをめぐる議論はすべての応募者のなかから選考されたという十数名の写真家の作品のプレゼンテーションののち、篠山氏がホンマ氏に対して、まずコンテンポラリー写真って何か言ってよ、という言葉から始まったように記憶している(ちなみにこの賞は「コンテンポラリーアートとしての写真」新しいアワードという副題がある)。
このストレートフォトとコンテンポラリーアートとして写真を巡る議論は、今日始めて知ったのだが、かつて篠山氏がストレートフォトグラフィの賞といわれている木村伊兵衛賞の選考に際し、コンセプチュアルな視点をもった芸術写真家と知られる森村泰昌氏を賞に推しながら、反論に合い断念せざるをえなかった件にさかのぼるという。今夜の議論においてもホンマ氏が当の篠山氏に対して、10数年前のその事件に言及したことから加熱したようにみえた。ちなみホンマ氏は、近著である自身初の写真批評書「よい子のための写真教室 たのしい写真」において、コンテンポラリーフォトグラフィーとして自身の写真家としてのスタンスを明確に示している。コンテンポラリーフォトグラフィーをめぐる議論は、現在の写真家としてのホンマ氏のスタンスを示す重要な議論のように思われる。

一方、金沢21世紀美術館で開催中の「ホンマタカシ ニュードキュメンタリー」は、写真家として'90年代より雑誌や広告などの分野で幅広く活動を続けるホンマタカシ氏初の美術館での大規模な個展。本展は現代美術家として世界中から注目を集めるホンマタカシ氏の大規模展とあって国内外での注目度も高い。

先の篠山氏の質問を踏まえホンマ氏は今夜の選考に際し、ある写真家の作品に対して、すべてが等価値に撮られていて、コンテンポラリーであると説明したうえで、その「等価」を生み出す背景にある写真家の「コンセプト」そのものにふれ、日本の写真界では「コンセプト」がチラリとみえただけで、「写真」ではないと決められ、理解されてしまうと現在の日本の写真界のメインストリームに対する自身の感想を述べた。

「ホンマタカシ ニュードキュメンタリー」では、4つの展示室とひとつの仮設ブースで新旧作品を新たにプリントしなおしてその世界観をあらたに再構築した。最初の部屋に展示されたのは、北海道・知床の雪山にハンターたちとともに入って撮影したフィールドワークによる作品シリーズ「Trails」。だが、そこは単なる大自然を写しとったネイチャーフォトではなく作品には、雪山の斜面には倒木や、動物たちの足跡といった痕跡、何やら意味深な赤い血のようなものが飛び散っているのがみえる。タイトルからしてそうだが、そこに写し出されているものが何なのか。その手がかりとなるような説明的なものはどこにも見当たらない。ただ、純粋に美しい雪山の風景と何ものかの痕跡を前に鑑賞者は、さまざま想像を巡らすことができる。
この作品についてホンマ氏は「雪の上に赤いものがあるだけで純粋に美しいと思った」と語る。普段みることのない自然の奥深くで繰り広げられる光景を前に、鑑賞者は「まがまがしい」ものを感じとりながらも、純粋に綺麗だと思える作品になっているのが印象的だ。
同じ部屋には「Trails」と同時に発表されたホンマ氏自らの筆となるドローイング作品も展示される。こちらは荒々しい絵筆のタッチが残るアブストラクトな作品。そこにも写真作品と同様、雪や木の枝、血痕と思わしきモチーフが描かれているが、ドローイングになるといっそう意味や意図がそぎ落とされ、そのディテールだけが明確にみえてくるようになるから不思議だ。
「Trails」ひとつをみてもホンマ氏は日本語で写真がもつ「真を写す」という意味の問い直しを、コンセプチュアルな姿勢でおこなっている。



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