FORM_Story of design(... Kato Takashi weblog)

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みなぞこにかき消されていく音

いよいよ本日からスタートするデザインタイドトーキョー 2010。
今年の会場デザインは建築家の中村竜治氏。6月のHODCにも参加の建築家だ。レッドカーペットの敷かれたエントランスを抜けると、巨大な生き物のような物体がホール天井ギリギリまでの高さをもって、空間全体をどこまでも埋めつくしている。
デザインタイドトーキョーは、そこで発表される今を感じさせる世界中から集まった最新のプロダクトへの期待もさることながら、毎回注目を集めるのは会場構成デザインだ。今回、昨年一昨年と好評を博した谷尻誠氏のあとを継ぐとあって、相当のプレッシャーがあったと聞く。

中村竜治氏は今年だけでも、「建築家の色とかたち」展における「カラフル」、そして、記憶に新しい今年春に東京国立近代美術館で行なわれた「建築はどこにあるの?7つのインスタレーション」展での圧倒的なスケール感を持った作品「とうもろこし畑」を発表。独自の建築的思考で、建築ともアートともいえないの多彩な作品を次々と発表してきた。

天井高い7メートル近い空間を埋め尽くすのは、白く着色された膨大な数の鉄板たち。それが等間隔で並び、人と人が支え合っているかのような見る角度によって多様な表情をみせる。波板状に加工された鉄の板は、二枚が対にになり、先端と足元をボルトで固定されながら支えあって自立している。奥行き40メートル、高さ7メートルのホールにひたすらそれが均質に続いている風景。

均質さはモダンの概念だが、巨大な構造が反復することで中村氏のこの作品は、そのモダンがなしえなかった独自の空間の質を獲得しているようにみえる。そこにあるのはフロアから7メートル上の天井を水面にみたて、みなぞこにかき消されていくいくつもの会話や音。
建築とインテリアの間をつくることを余儀なくされる、トレードショウの会場構成という建築家にとって難題ともいえる制約に向き合いながら、新しい形と空間の質を生み出すこと。
たわみの幅と強度を担保するために、鉄板を折り曲げ加工している。鉄板の厚みや大きさも、最適な「たわみ」を現象化させるために設計段階から幾通りかをスタディ。マテリアルとしてコンクリートも考えたというが、リサイクルが難しいという点で断念した。会場構成につかわれた膨大の数の鉄板は、会期終了後回収し、リサイクルされることまで考えてデザインしたという。
会場に流れるワルツのリズムは、会場を歩く数多くの人の足音と歓声にかき消され、そこに残る音は薄い高さ7メートルの鉄板のゆらめきに回収されていく。

PHOTO(c) Takashi Kato

DESIGNTIDE TOKYO 2010
デザインタイドトーキョー 2010
会期:2010年10月30日(土)〜11月3日(水・祝)
メイン会場:東京ミッドタウン・ホール
エクステンション会場:東京都内各所
コンテンツ:TIDE Exhibiton/TIDE Market/TIDE Extension
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