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CHARLOTTE FOR EVER
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このテキストをいま僕は、セルジュ・ゲンズブールが1971年にリリースしたコンセプチャルなロックアルバム「histoire de melody nelson」を聴きながら書いている。今夜目撃したシャルロット・ゲンズブールはやはりアーティストだった。名作「CHARLOTTE FOR EVER 」(1986年)から24年、遂にシャルロット・ゲンズブールがミュージシャンとして来日した。母ジェーン・バーキンゆずりのスレンダーなルックス、父セルジュゆずりのハスキーな声と、しなやかな身のこなし。女優としての彼女は良く知られた存在だが、実は俳優活動とほぼ同時にシンガーしての活動も始めている。父のアルバムでの「レモン・インセスト」でのデュエットのあと発表された初のフルアルバム「CHARLOTTE FOR EVER 」はセルジュ全面バックアップのなか、セルジュのアルバムでも共演してていたニューヨークの腕利きのスタジオミュージシャンたちがサウンド面をしっかりと支える。本作でも父とのデュエット曲2曲収録されている。シャルロットはその神懸かり的な出自のせいもあってか、世界中のギークなロックフリークにフォロワーが多いことで知られる存在。フランス本国はもちろん、ソニックユースやソフィア・コッポラらアメリカL.Aのカルチャーシーンを牽引するカリスマたちもシャルロットフォロワーを公言している。今回のライブの曲間のMCでも、父の存在があってAIRやBECKといったミュージシャンンと恊働することが出来たと語り、父セルジュへの敬意も忘れない。

しばらく音楽活動から遠ざかっていたシャルロットだが、2006年、同じフランスのミュージシャンAIRの2人のバックアップのもとフルアルバム「5:55」をリリース。以降は、昨年発表されたアルバム「IRM」では、アメリカ南部の泥臭いサウンドを得意とする鬼才BECKとコラボレーション。アコースティックとエレクトリックのミックスしたサウンドでアーティストとしてのシャルロットの新境地を開いた。

今回突然の来日初コンサートではAIRとBECKとのそれぞれ共作アルバムからの曲を中心にセレクト。そこにボブ・ディラン、セルジュ・ゲンズブールの曲を散りばめるなど。バックバンドの演奏もタイトで、母ジェーンと父セルジュゆずりのシャルロットのしなやからライブパフォーマンスは見応えがあった。

やはりライブで一番盛り上がったシーンは、「父の歌をうたいます」といって始まったセルジュのスウィンギングロンド時代の名曲「L'hotel Particulier」。この歌はシャルロットが生まれた年、'71年にリリースされたセルジュが妄想のなかのミューズとして仕立て上げたメロディという少女との恋愛話を赤裸々に綴る「histoire de melody nelson  メロディーネルソンの歴史」5曲目に収録された曲。ディストーションの利いたギターのエッジーなカッティングが印象的で、デカダンな'70年代ブリティッシュテイスト満載な曲だ。ライブのラストはセルジュの'60年代のラテンなダンスチューン「Couleur Cafe」というサプライズなおまけ付き。この曲は今夏パリのLa Cigaleで行なわれたシャルロットのライブでもラストにセットされたセルジュのキラーチューンだ。

忘れもしないシャルロットの父、セルジュの今思い返せば奇跡の人見記念講堂での2dayLIVEを体験したのは'88年。今日、目の前にいるシャルロットに、24年まえのスクリーンの中の彼女の姿と、22年前の東京でのセルジュのイメージを重ねた。そして、シャルロットのミュージシャンとしてのパフォーマンスは母ジェーンよりも、今は亡きセルジュに確実に似ていると思った、そんな夜だった。
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