FORM_Story of design(... Kato Takashi weblog)

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鈴木元さんのユニークベース
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厚さわずか2.3センチのユニークベースは、かたちのまえに存在を、そして空間そのものを意識させる建築のようだ。シュールな絵画のように、もしくはデッサンのなかの静物のような浮遊感は、あらためて自分が置かれている空間の奥行きや、それが拠って立つところの存在や時間というものを強力に意識させる。

鈴木元さんがデザインしたフラワーベース『Oblique-Vase』は、昨年のデザインタイドの会場でE&Yから発表されたプロダクトだ。鈴木元さんは1975年生まれの現在ロンドン在住のプロダクトデザイナー。松下電器産業(株)を経て渡英、'06年RCAデザインプロダクツ科修了。昨年六本木21_21 Design Sightで開催の『Chocolate』展にも参加した。
あやふやで、不思議な、空間のゆがみ。マスに向けたプロダクトである以上、アート作品というよりも完全なインダストリアルプロダクトとして企画され、より生産性を高めるために彼の地で量産される。開発に1年半を要したというデザイナー、マニファクチャーにとっても苦心の作である本作は、双方の熱意と理解ある関係性を感じさせるに十分な存在感をそなえている。

マニファクチャーとしてデザイナーには十分な共感を示し、存分にアイデアを発揮してもらい、マニファクチャーとしてそれに応えるための有益なガイドを示すことが務めであるというE&Yのスタンスは、それをクリエイトするデザイナー、そしてユーザーにとって有益な生活を豊かにみたすオブジェを提供すると思う。

昨年の秋に駒場のオフィスをショールームとしてリノベーションしたE&Yには、自社で開発した世界中のクリエーターとの仕事の成果が普通の暮らしの中にレイアウトされている。それは突然訪れたゲストのためのリヴィングルームになったり、ここを頼って集まるクリエーターたちの集いの場になったり、E&Yのこれまでの仕事の一切の仕事を知らない人でも楽しめる、くつろげるスペースを提供している。だからここにあるプロダクトは売るためよりも、豊かな生活のため、そしてより良く生きるための生き生きとした輝きにみちている。

デロールの岡田さんと、昨年のデザインタイド以来の再会となるこのオブリークベースを前にして共に感嘆し、お互いお揃いのグレーを土産に購入していくことに。さっそく家に帰って包みをほどき、今日の思い出にと花を活けて飾ってみた。やっぱり不思議だ。

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E&Y, OBLIQUE-VASE Design by Gen Suzuki
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comment
こんにちは。
セザンヌのデッサンか、キリコの絵画から
抜け出してきたような形態がいいですね。
大きさのバリエーションがもっとあると面白い空間ができそうです。
2008/03/07 8:25 AM by y_and_r_d
コメントどうもありがとうございます。
久しぶりに再会してつい買ってしまいました。
y_and_r_dさんももし目にされたら購入したほうが良いですよ。

確かにさまざまなスケールのものを並べてみたいですね。
鈴木元さんのサイトでオブリークの写真を見つけました。
http://blog.goo.ne.jp/gen_suzuki/e/1e68705704ad96aba4867572cad518e9
クリアのタイプもいいですね。
真ん中の穴をくり貫くのに大変な手間がかかるそうです。
2008/03/07 8:06 PM by FORM