FORM_Story of design(... Kato Takashi weblog)

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エットーレ・ソットサスがいってしまった。ソットサスについては以前にも書いてきたが、ありきたりなイタリアデザインの巨匠とか、マエストロなんて言葉ではくくれない自由な活動が実に見事に決まっていた人だったと思う。
デザイナーの巨匠なんていくらでもいるし、人間である前に普通の人間を超えてしまったかのようなそんな表現は、ソットサスに関してはつまらない気がする。
大御所デザイナーによくある、近年再評価、などという在り方にはあてはまらず、常に現在進行形のデザイナーであった。

御齢90歳にして毎年ミラノサローネで見ることの出来た新作家具はいつでもアバンギャルドで刺激に満ちていたし、いつもどこかしらでソットサスの回顧展が開催されていたりして、この人にはいい歳をしてもういいんじゃないか、というような半ば呆れたようなつまらなさがどこにも見当たらなかった。

ここ数年、頭のなかの中心のどこかしらかにいつでもソットサスはいた。日本とも馴染みが深く、つい最近も80年代に東京で収録された磯崎新さんとの対談を読んだばかりだった。
東京に来るたびの写真家のアラーキーとの邂逅も大人同士の企みが感じられて羨望の対象だった。
イタリア人であるというだけで、スマートに女性を口説いてみたり、人生を謳歌している感じはどこかしら自己表現下手な日本人の自分には羨ましかったりする。
いつでも人々はソットサスの後ろ姿を追いかけるだけで、決してあのトロンとしたまなこを正面からとらえることは出来なかった。時に追いついたかと思うとソットサスはもうすでに別の場所を向いていたり、時にはにやけ顔ですぐ後ろに居たりする。
ソットサスがすごいところはいつの時代もカルチャーのその中心にいて、その存在はちょうどその流れを見失わないための、確実な指標になっていたことだ。
ラディカル・デザイン時代にしてもすでに50歳を越えていたにも関わらずそのアプローチの仕方は誰よりも新しく、プロダクトデザインの分野に他のジャンルのアイデアを吹き込んでいた。

オリベッティでのディレクターとしての仕事、インド文明への歩み寄りを示したインディペンデントに近いユニークなデザイン等々、すべてがソットサスでしかあり得ない個性を示していた。
そしてその身のこなしの軽やかさは見事すぎるくらいに見事だった。
ファシズムの時代に生まれ、戦後の時代を超え、ポップアートやアレン・ギンズバーグらのカウンターカルチャーと対峙し、ビートルズよりも早くインド哲学を習得し、精神のこもったセンチメンタルなオブジェを作った。それは現代文明の手垢のついた機能というものを易々と超えてしまった、まるで宇宙人が作った地球人にはまるで役にたたないようなオブジェでもあった。
いつでもソットサスは頭のなかの中心のどこかしらにいて、人を愛せ、心まで文明にまみれるな、と言っている気がした。じゃあどうやって今の時代に生きていけばよいのか?と問えばソットサスは決まってもうそこにはいなくて別の何かを考えているのだった。

ソットサスにもう会うことが出来ないのはすごく淋しい。感情をむき出しにして怒ったり、人目もはばからす涙を流したり、そんな極めてありきたりな人間らしい感情表現ができる、人として魅力ある稀有なデザイナーだったと思う。またしてもソットサスは誰よりも遠く先に行ってしまった。
永遠にもう誰もソットサスには追いつくことが出来ないだろう。

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comment
こんにちは。
ソットサスが亡くなったとは知りませんでした。
デザインの仕事を始めた80年代に最も刺激を受けたデザイナーだったかもしれません。
最近、80年代に影響を受けたアーティスト(ジョーザビヌルとか・・・)が
亡くなることが多いのが残念です。
ご冥福をお祈りします。
2008/01/13 10:02 AM by y_and_r_d
y_and_r_d様

コメントどうもありがとうございます。
今年も宜しくお願いいたします。

ソットサス、残念です。多分会えることもなかったと思いますが、同じ地球上に同時に生きて生活していて、いつか何かしらのタイミングでソットサスの新しい仕事が見れたら、それだけで良い、と思っていました。
先日会った友人も、ソットサスのことは残念がっていて、いつの日かソットサスと語り合える自分になっていたいと思っていた、と言っていました。
以前ブログで紹介させていただいた、デザインアディクト誌でのイタリア特集のページも、ソットサスあるいはメンディーニを巡る考察でした。
y_and_r_dさんのブログも拝見していますよ。

PS.いつかソットサスを偲ぶ会、ソットサス・ナイト、実現させましょうね、after.tさん!
2008/01/15 11:56 AM by FORM