FORM_Story of design(... Kato Takashi weblog)

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ヘラ・ヨンゲリウス覚書2.  hella jongerius
kreo

パリにデザイナーが作る1点ものを中心に扱うギャラリー・クレオに、ヘラ・ヨンゲリウスがデザインしたカップボードがあった。
カバー・カップボードプロジェクトと呼ばれる企画のために作られたカップボードだが、先日友人と話していて、あの棚はきわめてポスト・モダンだね、なんてことになった。
そのカップボードはアンティークの戸棚の引き出しを、白いラッカーでペイントしリ・ユースしている。それをテキストがプリントされたガラスのケースで覆い、同じく白いラッカーでペイントされた足を与えている。
アンティークの戸棚のパーツを再利用することは、それを生み出した近代へのオマージュとも、クラフトへの憧憬ともとれる。

しかしその考えは近代がその意図に反して失ってしまった個の復権をもくろんでいるようにもみえる。
ガラス面にさまざまなプリント方法で印刷されたテクストと写真の斬新さは、このカップボードをいにしえと現在をつなぐヨンゲりウスなりの解釈で、実験的とも無謀ともいえるかたちで示している。2003年、ロンドンのデザイン・ミュージアムで開催されたヨンゲリウスの個展のために用意されたそれらのカップボードは、モダニズムが生み出した合理的なデザイン、形は機能に従うというような一見合理的な整合性をもっている。
しかし既成品をいったん解体しそれを再構成するデザインの方法は、'80年代初頭、ポスト・モダンの時代にアレッサンドロ・メンディーニらが試みた、ポスト・モダンに先立つ'70年代のラディカルな思想に基づいたもの作りの方法論に拠っているところが多いような気がする。

ヨンゲリウスはあの有名な食器のシリーズであるBセットにしてもそうなのだが、一見温かみのあるクラフト感溢れた作品にさえも、既成の価値観から逸脱した野生のたくらみを作品に漂わせることが巧みだ。乳白色に色づけされたそれらのうつわは、牙をそがれ虚勢された小動物のようにも見えるが、その実企業のあり方や、それまでの陶磁器のあり方を根本的に問い直す、一けんその道のプロフェッショナルでは思いもつかないようなやり方で挑戦状をつきつけているともいえるのだ。
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