FORM_Story of design(... Kato Takashi weblog)

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...活版再生展..
活版

活版印刷のモノトーンの世界は様々な物語に彩られた色あざやかな濃密な世界だ。活版印刷の面白みは文字=鉛文字というものの組み合わせの妙にあるという。
すでに他の印刷技術に取って代わられ、淘汰されつつあるこの古い印刷技術は今若い才能ある若者たちによって再び脚光をあびつつあると聞く。いにしえのものの常として、それが良品邪品に関わらず失われることは常づねあることである。あるものが果て朽ちていくにはそのもの固有の事情がつきものだ。

現代における印刷技術に関してはスピード、正確、その規格に即した画一性が求められ、手作業、味わいは二の次、そしてインターネットの爆発的な普及などその要因は様々、時代時代の理由がともなう。
そのように優秀な技術が本来のあるはずの姿のまま存続していくことの困難は、時代の流れのなかで失われていくのにはその宿命ともいえ避けえないものでもある。しかしそれを伝承、刷新していくことは可能である。

時代の中でそれらは生まれたそのままのあり方においては失われていく運命にあるといっても過言ではない。それらが生きて残っていく為には新しいアイデアと技術とそれを活かしていこうとする活力が必要だ(それを活版印刷のその文字のなかからも見るのだが)

現在、三軒茶屋キャロットタワーで開催中の『活版再生展』はそういった意志が如実に働いた良い先例であろうか?metabolismさんのブログにもレポートされていたように、その古くいにしえの前時代的な技術に魅力を感じ、それを活かしていこうとする担い手たちには実際に活版印刷の印刷物で育ってきた若者は少ないのではないだろうか?それでも彼らをノスタルジーではなく生きたものとして対峙させる活版の技術にはそれ相応の魅力がある。
映画『銀河鉄道の夜』の中で主人公ジョバンニが薄暗い明かりの中で文字をひとつひとつ拾う作業は神々しさと健気さを象徴している。今の時代にそれらはもうふさわしくないかもしれないものの、それらを求める気持ちは今を生きる我々の中にもある。

言葉を憶えたての幼子のように言葉をひとつひとつ拾い集め紡ぐ作業はどこか生きるということに似ている気がする。
それは確実にひとつのステップを踏み次のステップに進むことを意味している。
失うことは容易い。たとえそれが物と人との関係であっても繋いでいくいのちの意味はある。
今後彼らのの手によってその志し通りに、活版という歴史も技術的に蓄積もある印刷方法がどのように再生されていくのか楽しみでならない。

活版再生展 〜5月20日
<SAB LETTERPRESS> 
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comment
こんばんわ。
非常に懐かしいものですね。
僕のおじさんが活版印刷をやっていたので
子供のころは遊びにいくたびに
活字を触っていたことを思い出します。
あの独特の感触は今でも手に残っていますよ。
デザインの仕事をするようになって
一度活版印刷をやってみたいと思っていたのですが
再生の動きがあると聞いてちょっと安心しました。
2007/05/16 1:08 AM by y_and_r_d
y_and_r_d様。はじめまして。コメントどうもありがとうございます。
今回の展示良かったですよ。
幼い頃に触れ合っていた活字の思い出は、とても貴重な原体験になられたようですね。
ものは使われないと絶えていきます。
活版も時代の波の中で、徐々に使われなくなり
技術に展開がなくなり、活性がなされなくってきたのではないでしょうか。
そんななか今回の企画のように、活版を新たな気持ちで愛する彼らのような存在が
活版の存在を根底から突き動かすものになれば良いですね。
技術は保存することも大切ですが、使うことによって活性、変化させていくことのほうが肝要な気がしています。
2007/05/16 10:47 PM by FORM