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福岡版「何に着目すべきか?」報告
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福岡版「何に着目すべきか?」に持ち寄っていただいた本をご紹介
当日の対話のテーマである、「学びの場としての福岡という街、あるいは都市について」+「コミュニティ」に関する本が集まりました。

「アンダーグランド」(デビッド・マコーレイ/著)
都市のリサーチを展開されているRADの榊原さんには、都市生活の重要な基盤となっている建物や下水道、ガス官、地下鉄など、見えざる地下構造を微細なタッチで描いた絵本「アンダーグランド」(デビッド・マコーレイ/著)から、都市のインフラとしての見えざる構造に着目してお話をしていただきました。

「選択の科学」(シーナー・アイエンガー/著)
飛び入り登壇の村田さんは、心理学者である著者が選択についてさまざまな観点からリサーチした「選択の科学」(シーナー・アイエンガー/著)を。選択と決定、都市においては一見選択肢は多様にみえるけど、自分がどの場所や立場にいるかで、せの選択肢は限定されてくる。この街でどんな自分になりたいのかを知ることが、街で楽しく暮らすための最短距離なのかもしれない。

「NO LOGO」(ナオミ・クライン/著)
九州大学古賀徹さんには話題にもなった「NO LOGO(日本語タイトル:ブランドなんかいらない)」(ナオミ・クライン/著)をお持ちいただいた。都市はイメージ=記号で出来ていることや、福岡県の都市の内と外、都市と郊外を分析的、対比的に語っていただいた。この本のタイトル「ブランドなんかいらない」にあるように、この本には大企業の搾取の構造の問題が描かれているらしい。この世の中の成功というものには、光と影、オモテとウラが潜んでいる。そして私たちが暮らす都市や町にも、見えているものと、見えていないもの、オモテとウラがある。幸福の記号だけで暮らしていては、本当にその街を知ることにはならない。重いテーマを孕んだお話をしていただきました。

「わたしのはたらきかた」(西村佳哲/著)
ビブリオテークの石井さんは「わたしのはたらきかた」(西村佳哲/著)から、人間がなぜ働くのかについて。福岡という街での働き方、それは僕が暮らしている東京でのそれと少し違っていたように思う。働く場所と暮らしている場所が近いことは、単純に何よりも豊かだと思う。

「KINFOLK A GUIDE FOR SMALL GATHERINGS」(雑誌)
おしゃれな三迫太郎さんは、昨年創刊されたばかりのアメリカの雑誌「KINFOLK magazine」を。この雑誌たんにファッションやお洒落だけではない、まさにこれから必要とされるシェアの概念と、丁寧な暮らしのあり方が、美しい写真とレイアウトともに描かれている。ここで描かれていることは、アメリカ、日本に限らず、ある種の世代には今や既に共有されている問題意識だと思う。この本のサブタイトルにあるように、小さなサークルで豊かに暮らす、は福岡という街にとってリアルティがあるだろうし、これからの僕らの暮らしには最重要なテーマとなるだろう。それと何に着目すべきか?のテーマの一つである、「食」について、この本から受けるインスピレーションは、個人的に少なくないです。

「都市住宅 <仮設感覚>」(雑誌)
RADの川勝さんは「都市住宅 86/12 仮設感覚」を持参いただき、近年のDIYブーム再燃を見据えながら、仮設的なものがもつフレキシブルなものの良さについて、建築的な視点から語っていたいた。僕も都市住宅の<フレキシブル特集>が大好きなので川勝さんのセレクトには共感。

「いそさん」(tabibooks)
僕は谷中で牛乳屋さんを営む、いそさんの日常を写真と文で綴った写真集「いそさん」(加藤孝司/tabibooks)で、台東区浅草や谷中など、スモールサークルな、街と人との実践的な関わり方についてお話させていただきました。

当日は初めてお会いする方がほとんどだったのですが、自分たちが暮らす街への思い、そして本が対話の間にあるだけで、お互い共有するものができたように思います。途中で休憩を入れるつもりだったのが、参加者全員が前のめりになり話し込み、あっというまに二時間がすぎていました。ご参加いただいた皆様に心よりのお礼と感謝を申し上げます。


EVENT DATE:
福岡版 「何に着目すべきか?〜 学びの場としての福岡という街、あるいは都市について+コミュニティ 〜」
2012年5月12日(土曜日)
参加者:RAD川勝さん榊原さん、古賀徹さん、村田さん、石井勇さん、三迫太郎さん。
時間:14時〜16時
場所:Fukuoka Urban Community of Art(福岡市平尾)
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