FORM_Story of design(... Kato Takashi weblog)

sakumotto


今週金曜日、中目黒happaに新しいクリエイティヴスペース「sakumotto」がオープンします。
sakumottoは、デザイン、アート、ミュージック...、さまざまな感性がクロスオーバーする空間です。

オープンを記念して2月26日から3月6日まで多彩なゲストを迎えてのスペシャルイベントが開催されます。
僕も3月5日の20時ころから「加藤孝司ナイト (仮題)」と題したトークセッションイベントで参加しています。
ゲストにsakumottoと同じhappaのスペースでオフィスシェアをする青山|目黒の青山秀樹氏、スキーマ建築計画代表を務める建築家の長坂常氏、おなじくオフィスシェアをする塗装業なかむらしゅへい氏、スペシャルゲストとしてGlyph代表で、最近では"リアル中西"の活動でも注目集める柳本浩市をそれぞれお招きし濃密なトークを繰り広げる予定でいます。
happaでオフィスシェアをする皆さんには「happa」について、柳本浩市氏には「中西」について「中西はテン年代のメンフィスなのか?」をテーマにお話を伺う予定でいます。
2月27日と3月6日には内沼晋太郎氏(numabooks)をホストに多彩なゲストを迎えてのトークも開催されます。
ぜひ26日のオープンイベントと合わせましてご参加くださいませ。


sakumottoに関する最新情報はコチラにてご確認ください。


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サポーズデザインオフィス エキシビション Suppose design office Exhibition
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建築家、谷尻誠さんの建築設計事務所サポーズデザインオフィスの展覧会を見に名古屋に出かけてきた。
場所は市内東方にある閑静な住宅街、本山にあるflorist・gallery N 。今年の1月にオープンハウスを迎えたばかり個人邸の1階に構えるこのギャラリーは、名前の通りアートを見せるためのギャラリースペースであるとともに、フラワーショップとしての顔をもつ。

記念すべきギャラリーのオープニングイベントとして選ばれたのは、この家の設計を手がけた、建築家の谷尻誠さんが主宰するサポーズデザインオフィスの7年間の活動の軌跡をまとめた展覧会だ。
名古屋といえばまず食が豊か。濃い目の味つけの八丁味噌をきかせた味噌カツや味噌煮込みうどん、ひつまぶしや手羽先、味わい深いだしの利いたきしめんなどが有名だ。その個性ある食文化は、この土地のなりわいに深く結びついて独自の進化をとげてきたものだろう。
市内中心に位置するいくつかの昔ながらの商店街、そしてそこでの人々の生活を支えてきた人と人との心のつながりが、時代の流れとともに希薄になりつつある現実をふまえ、それこそがこの街の昔からある文化を下支えするべきもので、決して失ってはならないものだと思う。

建築における未来も、それが建てられる土地とそこに暮すであろう人の生活に深く結びついており、同時代の政治や経済、さまざまなカルチャーに連携をもちながら、住まうことの本来の意味に直面し、問い直しをおこないつつその都度軌道修正をしながら進んでいく有機的なものだ。

四季折々の異なる景色、湿気の多い自然環境、山々の連なりや川の流れなど起伏豊かなこの国の地において、決して平坦ではないそこに住まう人間の暮らしは、その住宅事情を含め自然環境とのたたかいのうえに成り立ってきた。
生活のための食物を育てるための田畑をとってみても、たとえれば猫の額のように狭い土地に、はいつくばるような急な山の斜面や、わずかな土地に人々の努力によって築かれてきたという経緯をもつものも少なくない。

土地を壊し、またはすでにそこにあった建物を破壊することの上にこそ成り立つ建築という行為は、ある意味人類のフロンティアスピリットを凝縮し具現化した姿だろうし、別の観点からみれば極めて傲慢で利己的な行いなのかもしれない。
しかし、建築に人が思いみるはかない夢や憧れ、そして建築を見て人が思い描く畏怖や感動は、自然を見たときに感じるその同じ畏怖につながり、それはこの地球と人間にとってきっと無駄なものではない。

自身の設計した建築で、しかも開設されたばかりのギャラリーのこけら落としとして選ばれた、谷尻誠さんとサポーズデザインオフィスの7年間の仕事の集大成は、お施主さんと建築家との新しいコラボレートの始まりを予感させる。建てることで終わらずに建てたことから始まる新しい関係性。
起伏のある傾斜した、ほかに同じ表情のない個性のある土地に、木々やフィギュアとともに配置された谷尻さんが手がけた建築の模型のある風景は、図らずもそのことを物語っていて、人間同士の心の繋がりの大切さや、たゆまなく積み重ねられていく人間の叡智の深さを実感させた。

現実の土地に直面して構想される建築がつむぐ夢は、人の暮らしの夢につながり、かけがえのない人生をともに歩む良き伴侶とならなければならない。
その意味でも建築を絵や写真ではなく立体模型でその敷地とともに表現するという、この展覧会の、建築というはかなくて美しいものを目で見て味わうという幸福は、そんなお施主さんと建築家との心と心という目に見えない深い絆のうえにこそ成り立つ理想的な建築だと思った。


SUPPOSE DESIGN OFFICE EXHIBITiON
2008.01.13(SUN)〜03.01(SAT)
12:00-20:00(最終日-17:00)
florist・gallery N
名古屋市千種区鏡池通3丁目5-1
定休日14日・日曜・祝日

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florist・gallery N
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florist・gallery N
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...CLEAR GALLERY...Liberated Zone...
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昨日、友人とMOT東京都現代美術館に「SPACE FOR YOUR FUTURE-アートとデザインの遺伝子を組み替える」を見てきた。東京都現代美術館のある東京木場の辺りは、埋立地特有のだだっ広い道が碁盤の目のように走る、人が歩くためではなく、車が走るのに都合がよい車のための道路が多い地域だ。
その帰りしな神保町に寄って古書店を散策していると、同行していた友人が、青山の裏手にギャラリーがオープンしたので行ってみたいと言う。そのギャラリーとはつい先日「箱展」を主宰した岡田さんから確かうかがっていたギャラリーだな、と思い当たり友人とともに出かけみることにした。

閑静な住宅が数多く建つ青山の裏手にひっそりと佇む、ひときわ大きなウインドウが目印のギャラリー。CLEAR GALLERYは以前E&Yのショールームがあった場所にオープンしたギャラリーだ。
今月に入ってオープンしたばかりのこのギャラリーの第1回目の展示は「Liberated Zone」。倉俣史朗は今や伝説のデザイナーである。
倉俣のプロダクトはなんでも今でも生産可能なものが多く、入手もそれほど困難ではないという。しかし、当時百数十万円の値が付いていたものが、今では数百万、一千万するものも少なくないと聞く。それは当時でも相当手の込んだ丁寧な作りをしていたものが、その当時と比べても幾分かは工業技術の進化した今にあってもその生産が困難を極めることを象徴しているように思う。
それは当初から倉俣の作るものが、端的にハイテクノロジーに拠る、というよりも、人間による手仕事の技術に拠っていたことは想像に難くはないからだ。展示されていたアクリル製のキャビネットにしても、そのアクリルの色の切り替わり目のぎこちのなさのない流れるような自然な美しさは、手仕事の丁寧さと技術の高さを知らしめるのに十分な迫力をもっている。いまではクラフトの技術の駆使は値が張るものだ。

それにしてもこうしてデザインを展示するギャラリーが増えることは楽しみの1つになることは間違いがないと思う。
本来デザインとアートにどのような違いがあるのだろうか?そんなことを考えてしまう。暮らしを豊かにすることは人々の、暮らしをいかにより良くするか、というデザインの努力によって成り立っていると思うし、アートはアートで個人的な想念の発露であり、それはまた個人がいかにより良く生きるか、という本質的な問いに結びつく。
そこには大衆と個人という違いこそあれ、本質的には大差がない。

デザインはアートのようにより自由になることを夢見ているし、アートはデザインのように大衆に認められることを夢に見ている。だれにも認められたくないようなアートなど存在しない。
だからこそデザインも今一度人々が今なにを必要としているのかを考えなければならないし、大衆の発想力を喚起するだけのものを生み出さなければならないと思うのだ。



CLEAR GALLERY ※青山骨董通りの裏手にあります
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