FORM_Story of design(... Kato Takashi weblog)

N Dialogue in Motoyama


今週末、名古屋の本山にあるflorist gallery Nを舞台に街と建築とアートが混ざり合う、そんなトークセッションが開催されます。
僕も3本のトークセッションに参加させていただきます。
週末は名古屋でみなさんと街と建築とアートについて語り合いたいと思っています。
ご来場お待ちしています。

以下、florist gallery Nウェブサイトより抜粋です。

【N Dialogue in Motoyama
florist_gallery N において「つなぐ」をコンセプトに街と建築とアートを語り合います。
建築とアートの領域を超えた様々なつながりを生成する場とします。
2010年3月20日(土)、3月21日(日)の二日間
入場料:1,000円/1日

「つなぐ」トークライブ プログラム (参加者は予定) 
3.20.sat 
13:00 源馬菜穂(作家/名古屋)×加藤孝司(ライター/東京) 
14:30 櫻井裕子(作家/名古屋)×詫間のり子(写真家/京都)・ モデレーター二宮拓也 
16:00 飯沼淳(NAUT/名古屋)×加藤孝司(ライター/東京) ×後藤連平(architecturephoto/浜松) 
17:30 After Party コエドビールのワンコイン販売(500円)でお楽しみください。

3.21.sun 
13:00 谷尻誠(建築家/広島)×二宮拓也・由利香(N・施主/名古屋) ・モデレーター加藤孝司 
14:30 飯沼淳(NAUT/名古屋)×伊能一三(漆作家/金沢)・モデレーター二宮拓也 
16:00 伊能一三(漆作家/金沢)×谷尻誠(建築家/広島) ×二宮拓也(N /名古屋) 
17:30 伊能一三展 Opening Party コエドビールのワンコイン販売(500円)でお楽しみください。 

建築家 谷尻誠と施主 二宮拓也・由利香の建築家×施主のトークを開催予定です。建築家の皆様は是非お施主様を誘ってお越し頂けると幸いです。建築家と家を建てたいと思っている方も大歓迎です。是非お越しください。


【チケット前売り予約/お問い合わせ 】
チケット前売り券をご購入いただく形で、本企画を応援いただける企業/個人の方を募集いたしております。チケット前売り券 ¥2,000-/共通2日 
チケット予約受付/お問い合わせ yurika7@mac.com

【出演者プロフィール】
谷尻誠 1974年、広島県生まれ。建築家。2000年suppose design office設立。2008年より、広島・東京の二カ所を拠点とし、国内外合わせ現在30を超えるプロジェクトが現在も進行中。

飯沼淳 1999年、NAUT設立。個性的なものではなく、普遍的で末永く使えるものをつくる、をテーマに名古屋の本山エリアでオリジナル家具のオーダーショップNAUTを展開。 

加藤孝司 東京浅草生まれ。建築・デザインを横断的に探求、執筆。 
『FORM story of design』では、建築、デザイン、映画や哲学など、独自の視点から幅広く論考中。 

後藤連平 建築、デザイン、アートの情報サイト「architecturephoto.net」主宰。1ヶ月の訪問者数約16万を誇る注目サイト。 

伊能一三 金沢在住の漆作家。「へいわののりもの」という世界観でさまざまな生きものを象った漆の立体作品を制作。 

櫻井裕子  作家。2008年エプソンカラーイメージングコンテストでグランプリを受賞。次代を担う新進作家の登竜門「FOR RENT! FOR TALENT!」でも入選し今後の活躍が期待される作家。

詫間のり子 写真家。2007年キャノン写真新世紀で準グランプリを受賞。2009年には金沢21世紀美術館の「愛についての100の物語」に参加。注目の若手写真家。

源馬菜穂 作家。トーキョーワンダーウオール2009でTWW賞受賞。澄んだ空気感の油彩画でファンも多数。名古屋を中心に個展も多数開催
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御礼


ウィルクハーンショールームで開催された昨夜の「勉強会」。
いくつかのキーワードを羅列。
「つめたくて、そのくせ暖かい」
「オーディオのスイッチの配置。日本庭園」
「かんたんには言い切れないもの」
「林檎が住みやすい家。パンが生まれる工場」
「幾何学は中立、機能は幾何学のみでは成立しない」
「バウハウス。亀倉雄策。吉村順三。俵屋宗達」
「図学」
「80mm、立方体のなかにある図学」
「ひとつのテーブルの上に生活の道具を並べる」
「ちいさいけど、広い」


それがすべて二人のデザイナーのものづくりの姿勢にあてはまる。
それにしてもウィルクハーンの空間とそこに置かれている家具のすべては素晴らしかった。

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dialogue







sukumotto presents 「第一回 加藤孝司ナイト」@HAPPA
DATE:
3月5日(金曜日)
20:00〜21:00 「HAPPAについて」
ゲスト:青山秀樹氏(青山|目黒)、長坂常氏(スキーマ建築計画)、なかむらしゅうへい氏(中村塗装工業)
21:00〜21:30   懇親会
21:30〜23:00 「リアル中西宣言〜中西はテン年代のメンフィスなのか?〜」
ゲスト:柳本浩市氏(Glyph.)
23: 00〜 アフターパーティー

All photo by A+Sa
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明後日の勉強会
 

建築設計事務所アーキテクトンを主宰する米田明さんと、工業デザイナーの秋田道夫さんとのウィークデー夜の勉強会「大きな建築も一本のボールペンも同じ図学という平野にいるというような事を楽しく語り合う会」の申し込みが定員に達したそうです。
お申し込みいただいたみなさまどうもありがとうございました。
秋田道夫さんとはこれまで5回ほど講演会をご一緒させていただきましたが、建築家・米田明さんとは今回の勉強会が初めてになります。
個人的には、これまで自分より年齢の若い建築家のみなさんとお話する場は、自らも積極的につくってきたのですが、先輩の建築家の方と公の場で話す機会というのは昨年大阪で開催された「デザインイースト00」以外これまでありませんでした。建築家として社会や組織との関わりのなかで体験してきた多くの経験と、そこで蓄積されてきた「問題設定力」とそれを解決してきた「知」を、対話のなかから実感できるこの機会を僕もとても楽しみにしています。
勉強会のタイトルにもある通り、肩肘張らず「楽しく語り合う」とともに、いくばくかある緊張感のなかからにじみ出てくるであろう対話。みなさんも楽しみにしていてください。


「大きな建築も一本のボールペンも同じ図学という平野にいるというような事を楽しく語り合う会 
米田明 × 加藤孝司 × 秋田道夫 」
3月17日(水曜日)19:00〜21:00
AXISビル 3F ウィルクハーンショールーム
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勉強会


3月17日水曜日に建築家の米田明氏と、工業デザイナーの秋田道夫氏とともに「勉強会」を開催致します。
今回の勉強会には秋田道夫氏よりお誘いいただきました。

タイトル:「勉強会」
日時:3月17日水曜日 午後7時から9時
定員:30名(お申し込み先着順とさせていただきます)
場所:ウィルクハーン ショールム AXISビル 3階
   東京都港区六本木5-17-1 AXISビル 3F
参加費:500円
申し込みお問い合わせ先: aiua@sky.plala.or.jp
メールにて「勉強会参加希望」とお知らせください。

皆さまのご参加を心よりお待ち申し上げます。
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青、黄、赤


秋田道夫さんによるデザイン展、「新東京百景ー信号編が青山のNOW IDeA by UTRECHTで今日からスタートしました。僕も早速雨のなか明日のトークの下見がてらでかけてきました。ユトレヒトのオーナー江口さんもつぶってましたが、信号機って大きいのね、という印象。
決して広くはないユトレヒトの展示空間に歩行者用信号機が5台、すべてリアルに点滅しています。個人的に一番気に入ったのが上の写真の歩行者用信号機。楽しいですね。こんな信号、いままであったのかな?とにかく楽しいです。明日、秋田さんに聞いてみよう。

ということで、明日本展のオープニング記念イベントとして、19時より1時間、秋田さんとトークをします。前回のトークが「この10年」でしたから、今回はさしずめ「これからの10年」。
秋田さんのデザインの話から始まって、公共デザインについて、そして信号、建築へ、話は広がっていくことになると思います。今回はスペシャルゲストをお迎えします。建築家の谷尻誠さんです。谷尻さんは先日のDESIGNTIDE2009では昨年に引き続き、空間のデザインを担当しました。タイド後、初の公の場でのトークになるので、そこらへんの印象も聞いてみようと思っています。


場所:NOW IDeA by UTRECHT (青山)

OPENING PARTY & TALK  11.18 wed 19:00~20:00でやります。ぜひお越しください。

信号についてのmonologe:(おまけ)

小さな頃から僕は街のデザインなんとかしてくれよ、と思っていました。例えば町中に電線が張り巡らされた風景や、無秩序に建物が建てられた雑多な風景なんかに。憧れの外国の都市の風景なんかを写真でみると、意外にすっきりしているのは街中に電線がないから。電線がないだけで街の風景はすっきりして見える。
でも最近自分の地元である浅草は都内有数の観光地だからか、景観にうるさくなつてきていて、なんか通りが見通しがいいなあと思ったら電線が地中化されていたり、建物の外観が良き"下町"風に整えられている。そうするとなんだか街の風景がへんに納まりが良くなりすぎて逆に不自然な感じがしてくる。
東京というか、日本"らしい"風景は意外にも、街中に張り巡らされた電線や、ぼこぼこした不均一な建物の連なりでできている、そんな混沌とした街の風景の方が今では逆に我が国日本らしくて自然に見えてくるようになる。
公共のデザインって、意外にもそこに住んでいる人にはあまり、理解されていない。
公共、といってもさまざまで、例えば街中にたってぐるっと見渡すだけで、信号を始め、ガードレールや公衆トイレ、ベンチなどなど、いろいろな物がある。
あるいは建築も、僕らにとっては公共のデザインに違いがない。
そこでスリムな信号機ですが、僕はそのこれまでとは一風変わった信号機をはじめて街で見たとき、ちいさな違和感として気づいたんですね。なんか違うと。
でもそれは嫌な違和感ではなく、きれいだな、と正直に思った。これまでの街の信号には、その上に鳩がとまって信号全体がフンだらけのものもあったし、フン害を防ぐために有刺鉄線がぐるぐる巻きにされた信号もあった。新しい信号機なら、スリムで、その上に鳩もとまることができないなとか思ったり。
赤、黄、青。青、黄、赤。信号は僕らの身近にある。そんな身近で毎日必ずみている信号について、明日は少しみんなで考えてみたいと思っています。
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見ることの重要性


来週の水曜日19時より、青山のNOW IDeA by UTRECHTにてトークイベントに参加します。
信号を肴に、公共デザインについて語り合います。でも僕がナビゲーターなので話が脱線することは必至です。お楽しみに。
僕は見慣れた景色のなかに潜む「ふつう」について、問いかけをしてみたいと思っています。
で、「見ることの重要性」です。

NOW IDeA by UTRECHTの空間は本当に気持ちがよいので、空間を味わうためだけに遊びに来ても価値アリ、ですよ。

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適正価格について


藤崎さんのブログ「ココカラハジマル」の記事、「『適正価格の空洞化ー「ふつう」の背景』を読んで思いついたことがあるので少々メモをとってみたい。これは11月6日付産経新聞関西版夕刊に掲載されたものを後日藤崎さん本人がブログ用に加筆して掲載したものとのこと。藤崎さんのブログを読んでの感想はすでに、Twitterの方でリアルタイムでつぶやいたのだが、ここでは僕も少し補足をしていきながら書き進めていくことにする。この記事についてお話は、先日藤崎さんと浅草にある居酒屋「以志田」にて二人でした雑談のなかにも出てきたのだが、あらためて記事を読んでみると、デザインについて書く者のハシクレとしてとても考えさせられた。
でも、こういった内容の論考をデザインジャーナリストである藤崎さんが新聞で発表できるのは意義深い。

このテキストを読んでまず僕は当然のことながら、一般に言われている、「物」の「適正価格」というものに思いを巡らせた。
物の値段はそもそもその物の価値とは違うから、物の値段はそれを作るためのコストに関係してくる。それはわかる。どの材料で誰がどのような行程を経て物を作るか。それでだいたいの値段は決まってくる。そしてそこに更に、流通というものが加わる。
例えばアマゾンで書籍を買ったとき、新品で買うか、中古で買うか、もし中古で充分であれば無理をして高い新品を買う必要もないから、中古を買うとする。するとアマゾンで買った場合、だいたいの場合送料が無料であるが、中古業者で購入すると決まって送料が商品代金以外にも加算されることになる、そこで新品と中古の値段と価値をその商品の価値に秤にかけ、選択することになる。

少々横道にそれたが、商品にはそのように新品と中古品、そしてその価値の検討といった、その物の本来の価値とは関係のないところでの選択、というものも入ってくるから、まったく難しい。言い換えれば、新品と中古品といったモノのあり方の違いの比較だけで、適正価格というものの標準化は揺らいでくる。

だから僕個人においての物の価値は、物に対する必要性を前提としながらも、僕個人がもつ主観的な物に対する見方や価値観で決まる場合が多い。もちろん、その主観的な価値観は、他人のつけた価値観や、「トップセールス」といったたぐいの統計的な商品ランキングにも左右されたりする。しかし、そこには相対的な点において、「物」と「お金」を物々交換している感覚がある。
ある物に僕はいったい幾ら支払うことが出来るのか?当然だがそれはその時点での経済状況にも左右されるだろう。あるいは今後自分がどれだけのお金を仕事の対価として生み出すことができるのか?そしてそれをどれだけの期間継続していくことができるのか?
大きな買い物をする時ほど、その事に意識せざるを得ないのは、当然だ。

またまた本題から横道に逸れた。だが、物の価格という点において、いかにこれら個人が生み出す妄想とも幻想とも言える主観的な「価値観」を物にこめてしまう「ストーリー」を排除して、物の適正価格が付けられているのか?そのことはまったくもって不明だし、あり得ないのではないかと思えるくらい、現在の物の価格とは、本来、物が成立するための背景にある「もの作りのストーリー」とはかけ離れているし、逆にそのストーリーに依存しているともいえる。
いったい現在このような考え方がどれだけ生産する側で意識されているのか?

物にストーリーをこめることは、物本来の価値が見えにくくなってしまった現代において、「物」の価値を可視化するためには有効な手段であり、過剰に物のストーリーを喧伝することで物の価値を成立させているともいえる。それは時流でもあるが、ある種の物はその物の背景にあるストーリーを意識的に「隠蔽」することで成り立っていたりする。
それが藤崎さんのテキストのなかで指摘されている、「わけあって安い」の”わけあって”のわけを巧妙に隠し、物の値段で言い訳するための適正手段になっているのかなとも思う。「マクドナルドの期間限定&時間限定で行った0円コーヒー」や、甘くておいしいチョコレートには、「コーヒー豆を収穫する貧しい労働者の記憶はこれっぽっちも残っていない」のだ。

藤崎さんの論考はこのあと「空洞化された適正価格をデザインする動き」を適正価格というものが見えなくなってしまったことと、「ふつうという共同幻想の操作」、「ふつう」をデザインすることへの危惧と警鐘で締めくくられている。

もし価値=価格が、他のものとの比較によって生まれるのであれば、もはや価格や価値などは一元的なものにすぎず、物を買う行為は自分で稼いだお金と物々交換することにすぎない、と割り切ってみるしかすべはなくなってくる。
だから僕らはむしろ原点に立ち返って、物が生まれる背景や、その物のつくり手に対し、その物を買うことで評価する買い手の意思を尊重するのと同じくらい敬意をもって接する、そんなところから始めたらいいのではないかと思っている。

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この10年展


先週トークをさせていただいたプロダクトデザイナー秋田道夫さんの「この10年」展は、明日8日(日曜日)までの開催になります。

秋田さんのデザインをまとめて見たのは僕もこの時が初めてだったのですが、タイトなスケジュールのなかで練られた企画であっても、当然それを感じさせることのない、デザイナーがものを考える際の、ディテールのようなものが透けて見える好企画になっていると思いました。
いわゆる直感的な展示方法も、つくれらたものの輪郭をくっきりと際立たせているよにみえた。

『「デザイン」は物に宿る精神のようなもので、それは見る者の体調や気分によって変化したり、ゆがんだりするような、やわなものであってはならない。それは過去と現在をつなぎ、その先に未来を連想させるようなものであって欲しい。』

この10年展で、僕がこの展示におけるシンボルのように感じたのは、上の写真に写っている信号機の付属品であるボックスの置かれた姿である。その展示から僕は、デザインとは物に寄り添うようにある「事象」に対し、目にみえて、分かりやすい「しるし」をつけていく作業なのだと思った。

『デザインとは孤高な作業だが、そこには優れたジャーナリズムのような時代の裏側にあるものを見つめる視点がなければならない。』


プロダクトデザイナー秋田道夫 「この10年」展  
場所:天童木工PLY併設展示室
〜11月8日(日)


※トークイベントにお越しいただいたみなさん、どうもありがとうございました。18日のイベントも楽しみにしていてください。
11月18日(水)19:00〜 NOW IDeA by UTRECHT 
秋田道夫x谷尻誠x加藤孝司トークセッション(予定)
詳細は追ってご連絡させてください。
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DESIGNEAST00 によせて。

いよいよ今週の金曜日から日曜日までの3日間、大阪の若手デザイナーや建築家主導によるデザインイベント、DESIGNEAST00 が開催される。テーマは「デザイン/都市について考える3日間」ということ。
僕たちの暮らしにデザインが果たすべき役割、その中でデザインが出来ること、あるいはデザインではかなわないこと。そしてデザインの理念に裏付けられた、僕らが生活を営みそして儚い記憶の源泉になっている愛しくも虚しさもある「都市」の再生。僕らが暮らす街の風景は僕ら自身がつくりださなければならない。そんな意志がこのデザインイベントには感じられる。
デザインされた物をただ展示するだけでなく、デザインを僕らが生きる街をそのままに考えていこうという今回のイベントの在り方は、消費主義が成り立たなくなって久しい、そんな現在の社会状況において、ただ反省的にではなく、ポジティブにデザインでもって社会に関わっていこうという、デザイナー、そしてジャーナリストの宣誓の場にもなるだろう。

デザインにできることとは?
それはデザイン自体がもつ問題解決の能力にかかっているのかもしれないし、あるいは政治やグローバルなビジネスと結びついてはじめて成立するものかもしれない。

デザインという言葉が、その言葉自体、そして意味も含めネガティブに語られている今だからこそ、僕はデザインという言葉を使って、デザインという言葉が持つ可能性を信じ、その意味を探ってみたい。
またこれまで、そしてこれから、都市の風景がどのように変わってきて、今後どのように変わっていくのかは今日現在僕らには未知数なところは多いだろう。
でも僕はただ他人事のように自分が生まれ育った東京という都市の変化を考えるのではなく、自分自身さえもが思った通りには成長してはいかない、自分の外観上の変化に照らし合わせて考えてみることもできるだろう。
それは善くも悪くもそれが投じられる環境の偶然に左右されるが、それはまた自分が選びとった道でもあるのだ。時に批判的に自分自身を見ることも必要だろう。だが批判的であることが自己弁護にすり替わっては本末転倒だ。

自分が今拒んでいるかもしれないこの街の変貌は、自分がその変化の一端を担い、進んでその変化に加担して来たことに自覚的になることから僕らは始めなければならない。変化の根源は自分とは無関係なところにあるが、同時に自らの中にもあることに気づかなければならないだろう。

一人の書き手として、僕自身がデザインに救われたり、助けられ励まされているように、デザインが持つ魅力を書くこと話すことで広く世間に伝えていくための、その方法を僕は考えている。

そのためには、きれいごとばかりではない、実現可能な、デザインの魅力を伝え、人びとの心深く浸透させていけるようなデザインの取り扱い説明書、「マニフェスト」を作ることも、ひとつの方法なのではないだろうか。

デザイナーが個を消して分かりやすいデザインに徹することもそのひとつの方法だろう。あるいは芸術家のような「表現」に徹することもデザインの魅力を伝えるひとつの手段になるかもしれない。ただ商業向けというコンセプトにだけ頼ることは、もしかしたらデザインをよけいに分かりにくくしているだけかもしれないのだが。
問題はデザイナーや企業がデザインの必要性を社会に対し、目にしやすく伝わりやすい方法で自分たちのマニフェストを掲げ、人びとに提示していないことであると思う。その点、やはり政治は歴史も分別もある分だけ先を進んでいる。

今の社会においてデザインの魅力を伝えていくことは決して容易いことではない。
けれどデザインの魅力を伝える側である僕らがそれをしないで誰がそれをするというのだろうか?
今僕らがそれをしなければ先人達が築いてきた、デザインの魅力を伝えるための仕事の連鎖を僕ら自身が断ち切り、途絶えさす、そんな事になりうるだろう。

DESIGNEAST00 に僕が期待することは、それがデザインの今だけでなく、デザインも参加して未来の社会の姿を紡ぎ、デザインをテーマに夢をもってそこに集まったみんなが語り合えるそんな場所になることだ。僕はそれがこのメンバーであれば出来ると信じる。今回の機会が僕にとってもデザインと社会について考えるそんなきっかけになればと思っている。


2009.9.18.fri - 19.sat-20.sun   11:00-22:00
入場料 1,000円(各日)
Nakanoshima Banks [ EAST棟]
大阪市北区中之島5丁目(堂島左岸)

僕も建築家の谷尻誠さんDESIGNLOUNGEに参加します。
日時:9月20日(日)21:00頃より約50分間。

最終日の最後も最後、東京方面への新幹線の終電間近になりますが、当日夜は大阪に宿泊施設を確保の上、ぜひ皆さんで楽しくDESIGNEAST00を締めくくりたいものです。ご来場お待ちしております。
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