FORM_Story of design(... Kato Takashi weblog)

...art school...2...Konstfack..

150年以上の長い歴史を持つコンストファックと呼ばれる王立芸術大学KONSTFACK: University College of Arts, Crafts and Design.は陶芸や版画・ガラスといった工芸、家具・メタルワーク・建築といった広い意味での造形、その他にもグラフィック・デザインやテキスタイルなどの高等教育を行う機関として様々な教育プログラムが用意されている。中でも概念的な教育よりも、実際的な物作りのプロセスが重視され、ワークショップや校内に併設されたスタジオでの課題への取り組みが重視される点に於いて、物つくりをする一人の人間教育と豊かな育成が5年間の内で養われる。

卒業生には古くはミッド・センチェリー期のセラミック作品で知られるスティッグ・リンドベリやカリン・ビヨルクイスト、スウェーデンのコンテンポラリー・デザインを代表するデザイナーであるヨナス・ボーリンなどがいる。
スティッグ・リンドベリはコンストファックを卒業の後、グスタフスベリ製陶所に入社、同社のデザイン・ディレクターを務めるなどした後、校舎移転に伴い1958年より1970年までの12年間コンストファックで教鞭を執っている。卒業生が後に同校の教授に就任することも少なくな、くその意味でも優秀な人材育成を証明しているといえる。

コンストファックはスウェーデンに於けるミッドセンチェリー期を支える才気溢れる陶芸家達を数多く輩出した事にも注目するべきであろう。第一次大戦後ヨーロッパには人間の手仕事に基づく工芸を標榜するデザイン施設が幾つか生まれている。ドイツには1919年から1923年のグロピウスとイッテンがいた初期バウハウス、1930年代のアメリカには当時同国に亡命していたエリエル・サーリネンのクランブルックなど、当時の風潮を反映させた人間の手仕事の復権、合理的な豊かな生活に根ざした日常品の開発、そしてそれぞれの国独自のモダニズムの解釈に基づくデザイン運動が起こりつつあった。
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...art school...1...RCA..
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ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)の創立は1837年と古く今年で170年の記念の年を迎える。ロンドンはケンブリッジに位置し、設立当初は政府の工芸を教育する機関として機能し、後に国立のアート・スクール、設立から40年後に王立芸術校として芸術とデザインの教育を専門に尽力するようになる。
18世紀半ばウイリアム・モリスのアーツ&クラフツ運動の思想を受け、人間らしい手仕事の技を作品作りに応用する事を教育の柱に据え、20世紀を向えると、様々な芸術運動の勃発衰退を受けながら、第一次大戦後、ドイツのバウハウスと同時期、RCAは英国に於ける彫刻の学び舎としての中心を担うようになる。
この時期はバーバラ・ヘップワースやヘンリー・ムーアといった後の世界的な彫刻家達が在籍していた事でも知られている。第二次大戦後には、世界中で成熟してきたモダニズムの風潮に影響を受けながら新たにインダストリアル・デザイン部門とグラフィック・デザイン部門が設立され、ファッション・デザインの分野の教育にも乗り出す。
ルイジ・コラーニやナイジェル・コーツ、現在ではプロダクト・デザイン学部でロン・アラッドや話題のダッチ・デザイナー、ヨルゲン・ベイも教鞭を執り、ジャスパー・モリソンやハビタUKのデザイン部門のディレクターも務めるトム・ディクソン、ロス・ラブグローブ、コンスタンチン・グルチッチやオランダ・デザインの若手トード・ボーンチェ、日本のAZUMIも卒業生である。
世界のトップ・レベルのクリエーターが後進の育成に努める事がどれだけ重要かをこれら世界で有数のアート・スクールは証明していると言えるだろう。
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