FORM_Story of design(... Kato Takashi weblog)

...Sottsass Night...


ソットサスナイトが昨夜目黒通りのカフェレストラン"コンクリートクラフト"で開催された。そもそもソットサスナイトとは、昨年末に逝去したイタリアのデザイナー、エットーレ・ソットサスを有志で偲ぶためにコンクリートクラフトのオーナーを発起人に開催された集い。
ソットサスは先日の朝日新聞ではオリベッティのタイプライター”ヴァレンタイン”が代表作とされるインダストリアルデザイナーだ。
近年も世界中のデザインギャラリーからリミテッドエディションの家具を発表するなど、90歳を迎えた最晩年まで、現役でデザインし続けた世界的なデザイナーだ。
そのデザインはどの国のどんな若手デザイナーよりも鮮やかで、前衛的な思想に満ちたプロダクトデザインであった。
会場になったカフェの壁面には、在りし日のソットサスの姿と作品の映像がエンドレスで流され、ソットサスの仕事と人となりを、それぞれの思いを込めて熱く語りあった。

ソットサスのデザインをイタリア全般のデザインの歴史を踏まえながら、アルファロメオの流麗なフリーハンドのドローイングから生み出されたラインにたとえ、感性に訴えかけるデザインと評する者。ソットサスのデザインの独特の間を自身の言葉で熱く語り、ソットサスしか生み出しえなかった絶妙のスケール感を讃える者。昨年のミラノサローネで発表されたプリミティブなマスクを、これは明らかに涅槃に近づいたものしか生み出しえない作品であると感嘆する者。
20世紀が生んだデザインと生きることの達人ソットサスを、19世紀のイタリアデザイン界の鬼才カルロ・ブガッティ(イタリアの自動車メーカー・ブガッティ創業者エットーレ・ブガッティの父)と重ねあわせたりといった、新しい発見も幾つかあった。
またあまりにも熱く語りすぎて椅子から転げ落ち負傷する参加者もあり、ソットサスという存在がデザイナーであることを越えて、語っても語り尽くせない魅力と想い出に満ちたアイコンになった夜であった。

6時間にも及んだ集いは結論的に、ソットサスは心身ともに酔わす最高のデザイナー、アーキテクトを超越した”神”であったということになった。
ソットサスの想い出は、年明け早々のニューヨークタイムスに掲載された、2006年のロスアンジェルスMOCAで撮影された、独特の憂いを秘めた印象的な写真が記憶に新しい。最後に参加者全員のソットサスへの思いを寄せ書きにしたため、偲ぶ会は幕となった。
美味しいお酒と料理で偉大なデザイナーであった愛すべきソットサスを語るというこの集い、今後は勝手にトリビュートと題してリスペクトするデザイナーやアーキテクトを語り合う集いとして継続していくことになった。今後の開催予定はコンクリートクラフト/アフタークラフトのブログ”酒とデザイン”で告知されると思うので、ご興味のある方は今後参加されても面白いのでは、と思う。



※写真はソットサスがアレッシイで手がけたワイングラス(手前の中身はアールグレイです)
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Konstantin Grcic..SAKE8...2-2.
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グルチッチはドイツの建築&デザイン専門誌『architektur und wohnen magazine』の今年のデザイナー賞を受賞、今のりにのっているインダストリアルデザイナーの一人でもある。
しかし日本ではプロダクトの紹介はされても、本人の紹介はなかなかされていないのが実情だ。インダストリアルデザイナーとしてはその作者よりモノ自体が広く伝わればそれでよいものなのかも知れないが、人を知ることによって見えてくるものが多いことは人間関係の面においても周知の事実である。

世界的にみてもグルチッチの作品の中には優れたデザインと機能性を兼ね備えたものであっても、メーカーの都合により廃盤になった作品も多い。グルチッチ本人も指摘していることだが、そこにはメーカーとデザイナーの円滑なコミュニケーションの不足をみてとることができる。機能的に、そして美的にも優れたアイテムの埋没。そしてそのことによる弊害も出てきているように思う。
グルチッチのプロダクト作品だが、グルチッチのスタジオ写真にもしばしば登場するスチール製のパラステーブルや、折り紙のようなグルチッチの代表作のひとつマーズチェアなどなど。今年の春からは東京のhhstyleでまとめて見ることが出来るようになりそうだ。そんなグルチッチが描く世界観を全貌を含めて紹介する時期は今が適切だと思う。

作り手そしてメーカーそうほうの努力によって救われるプロダクトの生命もある。優れたデザインも人の手に触れられ、使われて初めて磨かれてくるものである。それは日常の中で生まれてくる用の美とも呼ばれ、日々人々の心を満たし豊かにしてきたかけがえのものだ。
伝統とともに北の大地ではぐくまれてきたもの。それが青森の八戸でかぐわしい酒のかおりとともにその土地に根づきこれからも生き続けることを願いたい。
肝心のSAKE8だが5月の祭りの日に振舞おうと思っている。

http://www1.odn.ne.jp/hachituru/sake8.htm
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