2011年9月にアサヒアートスクエアで行った「何に着目すべきか?」で、本の現在的なあり方や、現在的なあり方、コンテクストをもった個人的な選書という、本棚のようなカテゴリー分けに着目した、デザイナーの橋詰宗、木村稔将、編集者の古賀稔章、ジャーナリストの加藤孝司の四名からなる「何に着目べきか?」。2012年4月の同じくアサヒアートスクエアでは、「LOST&FOUND」をテーマに、「忘れられたものの価値」や、日常のなかで既知のものとなったがゆえに逆説的に埋れ、見過ごされているものに光をあてるような対話の場を作り上げようと試みました。
それらの一連の試みは取りも直さず、日常生活を普段とは少し異なる視点から眺めたり、ありふれたものと思われているものに着目する、誰がそれを選んだかという物や行為にシグネイチャーをする、ユースカルチャーにおける「タギング」のような行為でもあったかもしれません。
それはまた市井の活動がありふれたものに、いかなる価値を与えることができるのか?という問い自体に問いをながかけつつ、それをどのようなコンテクスト=文脈で、どのようなカテゴリーに分類するのか?そんな試みを伴ったささやかな日常生活における冒険の場所でした。
今回の「何に着目すべきか?」では、アサヒアートスクエアとは異なるかたちで、より開かれたハーマンミラーストアという、通常家具を販売する場所で、本がそれが、物語や事実として書かれ、描かれることで、望むと望まざるとに関わらず、その読者にとって事後的に備えてしまう「コンテクスト」や、それが規定する社会生活における様々なカテゴリー分けを、さらに分類し、再構築するような活動を、ウェブという仮想的な空間に展開し始めた「nomazon」の活動に着目します。
われわれ「何に着目すべきか?」の活動は、主にそれを構成する四名の視点に捉われることのない自由な視点を持ち得る場所を、そこに同時に自主的に集まった参加者とともに実空間に作りあげようとしてきたといえます。
対してnomazonの活動は、ウェブという仮想空間に、本という実態と、ある種の意思をもった総体でこの世界のリアリティを補強しながら、nomazonの主要メンバーたる四名の趣味思考に捉われることのない、選書、カテゴリー分け、コンテクスト付け、意味付け、価値の再構築・再発見等に基づいた、自由な活動を展開しているように見受けられます。
今回のハーマンミラーストアでのトークショウでは、nomazonによる本を巡る活動の一端をプレゼンテーションしていただくと共に、何に着目すべきか?のメンバー四名の視点による、世界最大のウェブ型通販ショップであるamazonに載ることのない「nomazon」も発表される予定です。
そして、本だけに関わらず、本に端を発するこの世界を構成している様々な構成要素の、その配列をいま一度よく見ることで、新たな問いを仮設し、それにそれまでとは異なる文脈を与えることで、新たな価値を発見したいと考えています。
また、今回nomazonが実空間で展開する試みのひとつである「ノマウォーク」を、ハーマンミラーストアがある丸の内界隈で行います。
選書という、新しいものを作らずに、今あるものに新しい価値を与えるそんな活動にリンクする、nomazonによる「ノマウォーク」は、街なかにあるありふれたものに、誰がどのように着目したのか?というシグネイチャー=署名をすることで、新しい価値を発見する試みといえます。
ハーマンミラーストアがある、丸の内という場所性に着目したノマウォークでのnomazonと、何に着目すべきか?のメンバーが、江戸以来のこの都市の中心ともいえる丸の内を、どのような視点で再発見し、それをどう再構築するのか、Twitterやinstagramという、今的なメディアを通じて共有される、そんなライブ感のある街歩きの試みにも着目してください(ハッシュタグ: #nomawalk)。
そんな実践的な問いの投げかけという、さやかな試みが、何に着目すべきか?の活動でもあり、今回対バンを展開する、何に着目すべきか?とnomazonとの相似点でもあるように思います。
これらの一連の行動は、既存の価値を問い直すことで、そこに新しい価値を発見し、付与するための、思考のエクササイズなのです。6月29日の金曜日に、丸の内でお会いしましょう。
Approaches to What? VS nomazon
2012年6月29日(金)19:00-20:30
Herman Miller Store Tokyo
参加無料
ご予約は以下のサイトにいてお願い致します。