FORM_Story of design(... Kato Takashi weblog)

浅草松屋改装
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浅草松屋の改装が進んでいます。昭和40年代に設置された外壁を覆っていたパネルが取り外され、昭和6年竣工当時の外壁が現れています。

設計は大阪難波に今もある、南海ビルディング(南海難波駅)を手がけた久野節建築事務所。二つの建物には、それぞれ南海鉄道、東武鉄道と鉄道が乗り入れるビルであること、東武鉄道のコンコースとホームのある二階部分の半円形窓、外壁の乳白色のテラコッタタイルなどに共通点がみられます。それは久野がもとは鉄道省の技師で、初代建築課長であったことと関係しているのかもしれません。
外壁のところどころに繰り返し見られるこて絵風装飾が見事で、なんとも素敵です。半円形のアーチ状の窓といい、どうしてこれらが外壁パネルによって隠されなければならなかったのか不思議でなりません。

浅草松屋は昨今の景気後退による百貨店の不振の例に洩れず、屋上遊園地も一昨年閉鎖され、テナントも空きばかり。そんななか経済的な状況もあると思いますが、建て替えではなく、もとの状態に戻すこの方向性はいいと思います。

浅草には松屋と同様に、昭和40年代に味気ない外壁パネルを取り付けられたままの古いビルや建築が六区などにまだまだ残っていますので、この流れにのって乱歩や荷風が愛した、張りぼてでない、本物の浅草モダンの復元が進めばいいなと思います。
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何に着目すべきか?
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いよいよ明日土曜日15時から(開場14時30分です)開催のトークセッション「何に着目すべきか?」(〜21時まで予定。入場無料)。当日は来場者のみなさんに「何に着目すべきか?」のアイコンのひとつである「コースター」の無料配布や、代々木上原のお弁当屋さん「Chioben」さんの「何に着目すべきか?」限定の麺料理も楽しめます。


アサヒ・アートスクエアで行うイベントとしては第2回目となる今回の「何に着目すべきか?」は、『LOST & FOUND 価値の再発見』をテーマに、既存の物事にあらたな視点からの光を照射する試みをされているゲストの皆さんをお招きし、それぞれの活動のご紹介を編集的な視点を交えてうかがいます。

前回の「何に着目すべきか?」と同様、今回も舞台と客席、ゲストとホストの垣根を越えた、教室とキッチンとライブラリーの中間のような、真剣な議論のなかにも、少し笑いのある、クリティカルな場を皆さんと一緒につくることができればと思っています。

今回もコアメンバーである橋詰宗くん、古賀稔章くん、木村稔将くん、加藤孝司の4名に加え、飯田将平くん、川瀬英嗣くんに前回に引き続きお手伝いいただきます。それと今回は僕がいまお手伝いさせていただいている早稲田大学渡辺仁史研究室の「時間本」でもご一緒している、早稲田大学大学院の小池太輔くんにも参加いただいています。
前回会場で無料配布した『天婦羅屋トーク』の冊子ですが、今回は飯田くん、川瀬くん、小池くんの3名がチームで今回のために、事前に浅草をフィールドワークして作成した冊子を配布する予定です。こちらもどうぞご期待下さい。

以下は当日ご出演いただくゲストの皆さんのご紹介を兼ねて、事前にいただいたテキストを僕なりの解釈で再構成、あるいはプロフィールを引用させていただいたテクストになります。

あらためまして、明日4月21日土曜日は、浅草の対岸、隅田川のほとりにあるアサヒ・アートスクエア4Fにぜひお越し下さい。


第1部は主に編集的な視点から「LOST & FOUND」、「再発見」にまつわる活動のあるゲストの皆さんにお話を伺います。:15:00-17:30(予定)

白井宏昌さん(建築家)オランダの設計事務所、レム・コールハース率いる OMAに2001年より5年間勤務。現在、東京、台北、北京のアジアの3都市に拠点を置くH2Rアーキテクツとして活動。社会科学に特化した研究・教育機関「ロンドン・スクール・オブ・エコノミスクス」にも在籍し、オリンピック都市の研究家としても知られる。近作についてや、オリンピック都市の遺産、OMA(=レム・コールハース)での「編集的」なアプローチなどのお話もうかがいます。

NOMAZONさん(仮想ブックショップ) Amazonのリストにはない本をウェブ上に収集、ロングテールのさらに先をいく仮想ブックショップ。ZINE、自費出版本、フリーペーパー、カタログ、スペシャル・エディション、電子書籍などオールジャンルから、良質かつインディペンデントな本を中心にセレクトしている。書物との新しい出会いの場を創出している。

柴田隆寛さん(編集者) 『HUGE』をはじめとする雑誌や書籍、webやカタログ、イベント制作など幅広く編集に携わる柴田さん。主な編著書に『TooLs』『TooLs 2012』(講談社)、『BEAMS EYE ON OKINAWA ビームスの沖縄』(ビームス)、『リサ・ラーソン作品集』など。また、ストックホルムのデザインユニット、こどものためのアートブックレーベル“TREE FRUITS PRESS”のメンバーとしても活動しています。今回は衣食住を創造する日用の道具としての「TooLs」での試みから、「道具」の再発見についてお話をうかがいます。

室賀清徳さん(アイデア編集長)1999年より誠文堂新光社勤務。『アイデア』はじめデザイン,タイポグラフィ関連書の編集に関わる室賀さんには、アイデア編集長としての視点から、アイデア誌の膨大な過去のアーカイブの中からベスト・オブ・アイデアについてうかがう予定です。

ミヤギフトシさん(アーティスト)沖縄生まれ。主な個展に「The Cocktail Party」「Brief Procedures」ダニエル・ライヒ(ニューヨーク)、「A Cup Of Tea」ヒロミヨシイ(東京)。主なグループ展としてパース インスティチュート オブ コンテンポラリー アート(オーストラリア)、ボルドー現代美術館(フランス)など。同人誌「OSSU」を友人たちと共同主宰している。世界中の見知らぬ人とのビデオチャット越しのシーンを撮影した作品など、人と人の関係性に問いを投げかけ、それを写真作品と結実させるミヤギさん。自身の出身地である沖縄と向き合いながらの作品も制作。「日本とアメリカのホモソーシャルな関係。そこに入りきれない沖縄という女性化された存在。女性化された沖縄のなかで抹消されるセクシャルマイノリティの存在。」とは「American Boyfriend」と題して連載中のweblogのなかの言葉。 http://fmiyagi.tumblr.com/ 2012年7月には東京で個展も開催予定です。



第2部はデザイナー・アーティストの方々に批評家の方を交え、時間軸を横断した活動を実践をされている方々のお話をうかがいながら進行いたします。
18:00-20:30(予定)

奥村雄樹さん(アーティスト)2012年東京藝術大学大学院美術研究科、博士後期課程修了。身体が孕む密室構造において不確定的に重ね合わされた複数の可能性のひとつを外界に出力することで、客観的な事実とは異なる超常的な現実が現れるさまを、主に映像を用いて捉える。近年は翻訳や吹き替えにおける一人称の作用に着目し、落語家や通訳家をフィーチャーしたプロジェクトを展開している。自身も翻訳家として活動するほか、実名あるいは山辺冷名義で執筆も手がける。子どもを対象としたワークショップ「くうそうかいぼうがく」を各地で実施している。2012年は東京国立近代美術館、東京都現代美術館、愛知県美術館などで映像作品やパフォーマンスを発表予定。

加藤賢策さん(デザイナー)株式会社東京ピストル 取締役/アートディレクター/グラフィックデザイナー。『日常/場違い』展『泉太郎/こねる』展『日常/ワケあり』展(神奈川県民ホールギャラリー)、『リフレクション/映像が見せる“もうひとつの世界”』『大友良英/アンサンブルズ2010-共振』展(水戸芸術館現代美術センター)、『再考現学』(国際芸術センター青森)等の展覧会のアートディレクション、グラフィックデザインの他、サイン計画やウェブデザインなど幅広い活動を行っている。武蔵野美術大学、女子美術大学非常勤講師。最新作は浅草文化観光センター(台東区。設計:隈研吾建築設計事務所)のサイン計画。

森大志郎さん(デザイナー)美術展や映画祭カタログ等のエディトリアル・デザインを主に手がける。主な仕事に、東京国立近代美術館Gallery4展覧会シリーズ、『ヴィデオを待ちながら――映像、60年代から 今日へ』(東京国立近代美術館)、『清方ノスタルジア』(サントリー美術館)、『トレース・エレメンツ』(東京オペラシティアートギャラリー)、『蔡国強』(広島市現代美術館)、『「出版物=印刷された問題 (printedmatter)」:ロバート・スミッソンの眺望』(上崎千との共作『アイデア』320、誠文堂新光社)。近作は小林和人さんの「あたらしい日用品」。書籍やポスターなどのエディトリアルデザインの工程で発生する多くの版やデザインのアーカイブの可能性についてなど、お話をうかがいます。

上崎千さん(批評家)芸術学・批評・アーカイヴ理論。2007年より慶應義塾大学附属の研究アート・センターにて、戦後日本の芸術に関するアーカイヴの授業をしながら設計、実践的な構築に従事している。同大学非常勤講師もつとめる。主な論文に「岡崎乾二郎のディプティック」『SAP Journal』10号(セゾンアートプログラム)、「アーカイヴと表現(A Whole List of Things)」『ARTLET』28号(慶應義塾大学アート・センター)など。アーカイブと地質学の類似についての論考などがある。

富井大裕さん(アーティスト)新潟県生まれ。1999年武蔵野美術大学大学院造形研究科彫刻コース修了。2011年より日本大学芸術学部助教。最初は石膏による小さな人型の作品を発表していたが、既製品を台座に使用した人型のシリーズを経て、現在は既製品のみを組み合わせた作品を制作。その素材にはビニルテープやストロー、ポストイット、画鋲、キッチン用スポンジ、カーペットにハンマーなど様々な日用品や生活用品を用い、それらを並べる、重ねる、束ねる、折り曲げるなど非常に簡単な手法で組み合わせて造形作品とする。既製品を元来の機能や意味から解放し、色やかたちにまで還元し組み合わせることで彫刻を実践している。「MOTアニュアル2011 Nearest Faraway|世界の深さのはかり方」(東京都現代美術館)、 「横浜トリエンナーレ2011 世界はどこまで知ることができるか?」(横浜美術館)などに作品を出品している。

下道基行さん考現学(アーティスト)1978年岡山生まれ。武蔵野美術大学造形学部油絵科卒。2005年、『戦争のかたち』(リトルモア刊)を発表。トーチカ=砲台跡などの戦争遺跡を撮影した写真作品でしられる下道さん。3.11以後はバイクで日本国内を旅し、そこで出会った風景を撮影し、ファクシミリでギャラリーに送信するというフィールドワークによるプロジェクトを行なっている。今和次郎が提唱した「考現学」をキーワードに日常と芸術の関係を探るグループ展「再考現学展」(2012年)にも参加。考現学を再考し、遺跡という現代の異物を、フラットな視点で写真として切りとる下道さんの現在と過去を横断する思考をうかがいます。

水野大二郎さん(批評家)慶応義塾大学環境情報学部専任講師(有期)。2008年英国王立ロイヤルカレッジオブアートファッションデザイン博士課程後期修了。芸術博士(ファッションデザイン)現在デザインプロジェクト・DESIGNEAST実行委員、ファッション批評誌・Fashionista編集委員、Inclusive Design Now実行委員、FabLab Japanメンバーとしたも活動。ファッション、デザイン、都市や社会など。個人的なものと社会的なものをつなぐ、立場の異なった人同士をつなげる「インクルーシブ」な視野にたった実践的な活動についてうかがいます。
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デザイン/アートの分岐点
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突然のニューヨークのデザインストア兼ギャラリー 「moss」 閉店のニュース(写真はmossの近況を伝える海外のウェブニュースよりスクリーンショット)。ウェブログ、FORM_Story of designでは2006年頃からデザイン/アートについて論考してきたが、その話題を提供してくれたのは、美術を扱う正統的なミュージアムやギャラリーよりも、ショップやインディーなデザインレーベルやギャラリー、デザイナーのアトリエから発信されるデザインであった。

なかでも、オランダのVIVID GALLERY、パリのギャラリークレオと並び僕が注目していたのがニューヨークのデザインショップmossであった。
mossはマレー・モス氏とフランクリン・ゲッチェル氏の2人によって1994年にニューヨーク・SOHOにオープン。2007年には同じアメリカ国内西海岸ロスアンゼルスにも進出、この数年デザイン/アートフェアにも常連のように出展していたことも記憶に新しい。

ヘラ・ヨンゲリウスやマーティン・バース、ステュディオ・ジョブ、クラウディ・ヨンゲストラらのいわゆるドローグやアイントホォーフェンに端を発するオランダの先鋭的なデザイナー、カンパーナ兄弟、トード・ボーンチェ、大御所ではイタリアのガエタノ・ペシェらも、mossが2000年代に積極的に紹介し、その後世界的に注目を集めるデザイン界のスターたちだ。

アーティストや美術家ではなく、デザイナーとよばれる彼らが当時mossなどのデザイン系ギャラリーで発表していたもののほとんどは、ユニークピースと呼ばれる一点ものが中心であった。それは大量生産には向かない手の込んだ作りのものであると同時に、高価な素材を贅沢に使ったり、道具としての機能を持たないもの、そもそもマスマーケットを対象にした大量生産・大量消費を前提としたものでも、されるようなものでもなかった。
だがそれらは、その特異なカタチゆえ、一見本来デザインが拠り所とする問題解決や、機能とはほぼ無縁なものであるからといって、無用なものであるという判子を押すこともできないものでもあった。

名作家具を燃やして黒焦げにしたものや、オフィスチェアの脚をもった動植物のようにもみえる抽象的なオブジェクト。大理石で出来た工芸品のようなスツールやブックシェルフ。それらは座るための椅子や、普段使いするできる道具、買いやすい値段など、従来の工業デザインがもつ意味からは大きくかけ離れたものであったことは確かだろう。
それが社会や産業に対し、何かしらの意味を持ち得たとするならば、アーティストにくらべ、普段社会に身近なところで仕事をすると思われていたデザイナーたちが、それらのデザインを通じ、現状の社会に対して異議を表明したことだろう。
ある仮説をたてるなら、それらアートのようなデザインは、現状の社会を批判的にとらえたもののあらわれであり、それを乗り越えるためのデザインによる応答、そういった意味での問題解決のためのデザインであったと。

ともあれアート市場という、小さいが巨大なマーケットをピンポイントにターゲットにしたそのスタンスは、それまでのデザインにはあまりみられなかったアプローチだっただけに、ことさら新鮮だった。
同時に、日常をより良くするという機能の面が重要視された、これまでのデザインとはかけ離れたアプローチにより生まれてくるそれらのデザインは、特定のマーケットやメディアに驚きとともに賞賛で迎えられたが、その特異なあり方ゆえ批判の対象にもなったこともあったように思う。
そんなアートとしてのデザインのマーケット/フェアであるデザインマイアミがはじめて開催された2005年頃には、デザインは現代アートと同様にビッグマネーを生み出すものとしてアート市場において認識され、デザイン=アート市場はにわかに活気づいたようにみえた。

mossもデザイン=アートの震源地であるオランダのミュージアムと共同で、デザイナーによるアートピースを手がけるなど、デザイン/アート市場において、その影響力はデザインや、デザイナーたちのパトロンとして、オランダやその他の国々とは桁違いのグローバルなマーケットを持つアメリカという国にあって、その立ち位置は際立っていた。mossの存在は、わが日本もふくめ、2000年後半の特定のデザインシーンを大いに活気づけたことは間違いがない。

ニューヨークのmossのショップは2月17日をもって閉店との情報
だが、海外のニュースサイトによると、今後はもう少し小さなスケールでのショップとしての活動再開も予定しているというから、mossの新たな展開にも期待したい。
世界同時経済危機をひきおこしたリーマンショックならぬmossショックにより、デザインとアートの蜜月は終了したとみるむきもあるようだが、人間の生活の営みがあるかぎり当然ながら「デザイン」は存在するし、社会のあり方をある側面において強度をもって示すデザインそのものを刺激するデザイン/アートというジャンルも存在し続けるだろう。
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Sori Yanagi
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僕の柳宗理さんの製品との出会いは、2000年頃にイギリスのハビタから発売されていた、エレファント・スツールだった。それを僕は当時住んでいた祐天寺に近い、代官山の洋服屋で黒を一つ、その後、同じ代官山にあった家具屋さんで白いものをひとつ買い足した。それは奥さんと一緒に暮らしはじめて、初めて買った家具で、値段は1万円くらい、当時イームズのビンテージのサイドシェルチェアが最低でも3万円くらいしていたから、エレファント・スツールの良いデザインでかつ買いやすい値段に驚いた。
見た目が薄く軽やかな三本脚のスツールは、良く目のつまったファイバーグラス製でできていて、自転車の前カゴに積んで坂道をのぼって家に帰る道すがら、思いのほか重かった、その重みを今でもはっきりおぼえている。

今思えば、最先端のデザインが、家具を扱う専門のお店ではなく、トレンドを扱うファッションのお店で買うことができたという点が興味深い。確かにあの頃は、イデーのような家具屋さんには脚繁く通ったものだが、ビームスのインテリアコーナーや、百貨店のデザイン売場、美術館のミュージアムショップが、デザイン好きにとっても聖地でもあったのだ。

柳宗理さん自身については、2001年のデザイン誌『Casa』2月号の特集記事で詳しく知って興味をもったはずだけど、その号にエレファント・スツール復刻の記事が掲載されていて、当時ハビタのディレクターをしていたイギリスのデザイナー、トム・ディクソンがリチャード・ハッテンとロス・メネスを従えての熱い柳事務所探訪記がなんともユーモラスで面白かった。そのときの柳さん特集号は、海外の家具のバイヤーさんや、ジャスパー・モリソン氏も熱く柳さんについて語っていて、同じ日本人として今みてもなんだか胸熱だ。

エレファント・スツールについては、'50年代のコトブキ製のものが、銭湯やどこそこに大量にあるだとか、いろいろな話を聞いた。それだけ柳さんのデザインは、デザインが付加価値となった現在よりも、工業デザイン黎明期の'50~'60年代に広く一般にも流通していたということだろうか。

その後、お金を貯めては天童木工製の名作『バタフライ・スツール』を手に入れ、ステンレスのカトラリーも手にいれた。
それら柳さんのデザインは、生まれ育った浅草に戻った今でも家にあり、現役で働いてくれている。

商店街の店先にあった寺岡のハカリ、波止場のボラード、亀の子たわし、野球のボールなど、なんとなく当たり前に目にしていて普通につかっているものがもつ(それが"アノニマス"というものの一端であることも含め)、もの本来の美しさへの気づきは柳さんから教わったものだし、ル・コルビュジエの「輝く都市」も、民藝も、ポワン・デ・ススパンションも、パリのコレットも(当時柳のバタフライスツールを販売していた)、全部当時、柳宗理さんに教わったことだ。
柳宗理さんどうもありがとうございました。
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Christien Mendertsma Oak Inside...
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ヒンデローペンはオランダ北東部フリースランドにある港町。伝統的に港湾貿易が盛んな町で、大西洋を通じてバルト海沿岸の森林資源の豊富な北欧諸国との交易があり、多様な木材文化が古くから栄えた町だ。干拓地として知られる天然資源の乏しいオランダにあって、港町には木工製品の文化が古くから根づいており、北欧のクラフトとも微妙にことなる木材をマテリアルにしたさまざま工芸品が生まれた。

木材製品を装飾するためにヒンデローペンで生まれた「ヒンデローペン・スタイル」と呼ばれる素朴な手描きによる絵柄は、濃い赤、青、緑とベージュをベースカラーに鮮やかな色味に特徴がある17世紀末発祥の絵付け画法。絵柄はフォークロアスタイルで花や鳥などが描かれており、素朴な絵付けは現在でも世界中でフアンが多いと聞く。
ヒンデローペンは、同じオランダ国内のヘラ・ヨンゲリウスやスタジオジョブの磁器作品を手がけることでも知られるマッカム焼きの工房がある町、マッカムにも近い。

今回のクリスティンのオーク家具コレクション「Oak Inside」は、オランダの現代アートギャラリーPriveekollektie Contemporary Artから、トーマス・アイク・コレクションとして発表されたもの。Priveekollektie Contemporary Artはオランダの彫刻やデザイン、絵画、写真まで幅広く取り扱う現代アートギャラリーで、デザインマイアミなどの国際的な現代アートフェアにも参加している。トーマス・アイクは2000年代初頭よりおもにオランダのプロダクトデザイナーとの恊働により、オランダ独自の素材と伝統に従った製品を発表しているデザインレーベル。フォークロアや工芸をテーマとしてながらも、単なる工芸とはことなるアーティスティックなアプローチに特徴がある。これまでもスタジオ・ジョブ、アルド・バッカー、ショルテン&バイーングらの作品を発表し、その繊細丁寧なものづくりには定評がある。

「Oak Inside」コレクションは、テーブル、椅子、カップボード、脚立、ボックス、スパイスミル、ラグで構成された家具シリーズで、クリスティンのサイト内のOak Insideのページをみると分かるのだが、これらの作品は多彩な色彩で描かれた1800年代のHendrik J.Lapにより絵画の中に描かれた家具を精巧に写しとった「写し」作品である。
北欧のデザイナーたちは過去の良質なデザインを良いところはそのままで、現代に見合った視点で更新=リデザインすることで、時代にあった道具やデザインを生み出してきたが、現代オランダのデザイナーたちもリデザインとは手法はことなるが、伝統をモチーフに現代的なデザインを生み出している。
装飾を施されたテーブルは簡易的な折畳み式、スパイスミルのその特徴的なかたちはテーブルの脚に由来し、ボックスはオランダの航海士が使用していた衣装ケースにインスパイヤーされている。ラグと、椅子のシートはニッティングデザイナーでもあるメンデルツマらしく、極太のニッティングによる作品が用いられており、素朴だが大胆な作品になっていると思う。
またカップボードに描かれた柄は典型的なヒンデローペンスタイルの絵柄だが、オランダには手のこんだ伝統的な寄せ木細工の装飾も有名だ。今回の作品ではまさにヒンデローペンスタイルの絵柄を得意とする専門的な工房である1894年創業の「Roosje Hindeloopen」と恊働した。

これまでも、デザインアカデミーアイントフォーフェンの卒業制作として制作された9.11以後のスキポール空港での没収品を集めて写真におさめた「チェックドバゲージ」や、消費量が世界一といわれているオランダの豚をめぐる状況をリサーチし一冊にまとめたPIGなど、当たり前な日常の背景に潜む社会の仕組みやロジックを独特のアプローチで作品に置き換えてきたクリスティンだけに、Oak Insideにこめられた意味を引き続き探っていきたいと思っている。

クリスティンのサイト、FLOCKSでは彼女の作品をたくさん見ることができる。


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建築、アートがつくりだす新しい環境
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アートとプロダクトの不穏な関係

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「"ART & PRODUCT" - アートとプロダクトの不穏な関係」と題したグループ展が清澄にある AI KOWADA GALLERYにて開催中だ。

出展作家は、磯谷博史氏、大田秀明氏、木住野彰悟氏、佐藤好彦氏、鈴木康広氏、土屋貴哉氏、冨井大裕氏、ホンマタカシ氏、三田村光土里氏、森田浩彰氏の10名のアーティスト。

展示作品はプロダクトをテーマにした絵画や写真、映像などの平面作品にくわえ、実際の工業製品をモチーフにした立体的なレディメイド作品など十数点。たとえば、以前、目黒のギャラリー青山|目黒で出会った森田浩彰氏の、ナチュラルミネラルウォーターのグローバル企業であるエビアンとボルビックの500mlペットボトルを使った関係性をテーマにした「From Evian to Volvic」(森田氏のペットボトルからペットボトルへ中の水を移す実体験に基づく作品)や、写真家のホンマタカシ氏による消費社会のひとつの象徴でもあるマクドナルドのトレードマークを、郊外や現代社会の象徴として扱った写真シリーズ『M』、冨井大裕氏は「ハンマー」と題し、ハンマーを並べた彫刻的でアブストラクトな作品を出展している。

どの作品もプロダクトとしての物自体の社会的なあり方に着目しながら、プロダクトがもつ用途という具体的なあり方を比喩的にあつかうことで、その意味をそこに残しながら、プロダクトから抽象概念だけを抽出しているようにみえる。

たとえば、佐藤好彦氏の「Type of Peace」は、PCのキーボードからキーだけを抜き出し、それをある意味をもった文字になるように配列することで、記号の刻印されたキーの本来の使われかたとはさほど遠くはなれることなく、アート作品たりえる作品を作っている。それはキーはキーボードの上にただ配列されているだけでは、たんに記号にすぎないが、それを指し示す機能が明確である場合、ある意味や文字として浮かび上がってくることを、物そのものを再構築しあらためて示した作品といえるだろう。

本展の意義はアートとプロダクトの不穏な関係というコンセプト自体にあると思うが、ここに展示された作品から、その意味を深く読み解いていく作業は容易なことではない。デュシャン、あるいはレディメイド、ウォーホールやリキテンスタインを例にだすまでもなく、これらの作品がわれわれが置かれた消費社会においてある批評性をもってたち現われていることは否定の余地もないだろう。

台座の上に置かれただけのボーリング球や、野球のボール、あるいはペットボトルが示すのは、もちろんこれらの工業製品を賛美するわけでも、それがある豊かな社会を物自体を選ぶことで謳歌しているわけでもない。もしここに選ぶことの価値を見いだせるとしたら、それは同時代的な優れた感性をもった芸術家たちによる時代を編集し、「手術台の上におけるミシンとこうもり傘の出会い」のように、異質なもの同士を組み合わせ、硬直した価値をゆさぶる卓越したセンスのたまものだろう。それは本展の隠されたテーマでもある広告もまたしかり、である。

「ART & PRODUCT」~2011年12月22日(Thu) AI KOWADA GALLERY
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谷尻誠さんとのトークエキシビション

52 CHRISTMAS TALK EXHIBITION 2011

人とファッション、デザインと生活が交差する場所である「52」を舞台に、
「建築とアート、ファッションの交差点」をテーマに、トークエキシビションを開催いたします。

お迎えするゲストは、建築のみならず自由な発想をもったアートやインテリアデザインを手がけ、近年世界中で注目を集める若手建築家 谷尻誠さん。谷尻さんは52の建築を設計した建築家でもあります。
MARGARET HOWELL、ARTS & SCIENCE、etre Pieds nusのファッションコレクションラインをはじめ、丁寧な暮らしに根ざした生活アイテムを取り扱う52の空間を、どのように考えかたちにしていったのか。建築家自ら設計をした空間で、自作について語る貴重な機会になります。
また今回、「光」をテーマに52の2011クリスマス アートピースを手がける静岡在住の美術家 松浦澄江さんをスペシャルゲストとしてお迎えし、谷尻さんを交え、アート、空間、建築についてお話いたします。

アフターパーティーでは、お洒落なフードBarが出店、ギター、ベース、パーカッションによるスリーピースバンドの演奏が、クリスマス気分を盛り上げます。 
トークを中心に、52ならではの「暮らし」や「食」のエッセンスを交えながら、おいしいフードとドリンク、そして音楽とともにクリスマスを直前にひかえた、今このときしかない大切な夜を、有意義に楽しく過ごすことのできる場所をデザインいたします。 

みなさまのご来場をお待ちしております。


52 クリスマス・トークエキシビション 2011
「建築とアート、ファッションの交差点」

出演: 谷尻誠 MAKOTO TANIJIRI(建築家 / SUPPOSE DESIGN OFFICE)
            松浦澄江 SUMIE MATSUURA(美術家) 
モデレーター:加藤孝司 TAKASHI KATO(ジャーナリスト)

日程:2011年12月17日(土)
時間:トークエキシビション  16:30〜18:30(16:00開場)
アフターパーティー     19:00〜21:00
入場料:1,500円
アフターパーティーに参加の場合は+1,000円(フード&ドリンク代込み)。
お申し込みの際にお知らせください。
会場:「52」静岡県静岡市駿河区曲金4-12-50-2
電話: 054-202-8744
www.52b.jp
企画: 52 & 加藤孝司

お申し込み方法:
お名前、ご連絡先、参加人数を明記の上、 te-k@oregano.ocn.ne.jp 迄お願いいたします。
なお、お申し込み多数の場合は先着順とさせていただきます。ご了承くださいませ。

谷尻誠
建築家。サポーズデザインオフィス代表。1974年広島生まれ。80以上の住宅作品を手がけ、近年海外でのプロジェクトも数多く手がけている。2003年より穴吹デザイン専門学校非常勤講師、2011年より広島女学院大学客員教授。

松浦 澄江
美術家。東京藝術大学日本画科卒業。和紙と銀箔を使った立体作品を中心に創作発表。JAA・IAA会員、「シズオカ 人と美術を結ぶ会」事務局として鑑賞者と美術館の関係、都市景観と人の関係など巾広く問題提起。静岡市清水区在住。

加藤孝司
ジャーナリスト。1965年浅草生まれ。デザイン、建築、アートの記事を、専門誌やウェブマガジンなどに寄稿。デザインや建築にまつわるトークイベントなどの企画・出演も多数。
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秋岡芳夫覚書


秋岡芳夫展が目黒美術館で開催中。僕はまだ行けてないけど、会期中には行くつもりだ。秋岡芳夫氏については只今勉強中なので自分に対するざっくりしたmemoとして、適宜推敲しつつ以下のテクスト書こうと思う。

秋岡芳夫は戦後から活動している工業デザイナーであり、童画家であり、デザイン運動の活動家である。
'60年代から学研の付録のデザインを手がけるなど、子どもたちたちに対するデザイン教育にも熱心であったと聞く。
僕の秋岡探訪は先日、藤崎さんに本展のチラシをいただいたときから始まった。今日、仲間と打ち合わせ中にこのチラシをみせたところ、皆が自分なりの秋岡論のもっていて楽しく話すことができた

書物や活字に詳しい編集者の古賀さんによれば、秋岡芳夫の父秋岡梧郎は有名な図書館員で、カウンターで希望の本をオーダーしていたそれまでの図書館の貸し出しシステムから、いまの自由に図書を閲覧できる図書館のシステムをつくった人と言われている人物だと聞いた。
工業デザイナーとして'50年代には当時では珍しい工業デザインのデザイナーグループKAKを結成し、自動車のデザインなどを筆頭に、企業のデザインを指導する立場として活動を展開。KAKとして当時企業のための手がけた仕事としては、写真やカメラ好きにとっては身近なアイテムである名作露出計「セコニック」、ミノルタのカメラなどのデザインもある。
世代的には、秋岡氏は1920年生まれで、戦後デザインを代表する柳宗理氏、剣持勇氏、渡辺力氏とは5〜10歳ほど歳下にあたるが、大きくは同時代のデザイナーといって差し支えないと思う。だが、この微妙な年齢差が、もしかしたらその後の工業デザインへのスタンスの違いとしてあらわれたのではないかという気もする。

'70年代以降は大量生産をよしとする消費社会に対し懐疑的な立場をとるようになり、消費者から愛用者へをスローガンに、同時に自身も日本の戦後高度経済成長を支えてきた工業デザインと距離をおくようになる。

また個人の興味としては生活道具のコレクターとしても知られており、市井の人びとの日用品や、道具類のコレクションも膨大、多岐にわたったという。今回の展示でも自身のデザインした製品ととも愛用の品が展示されているという。
デザイナーのもののコレクションといえば、イームズやカスティリオーニの名前がついついうかぶが、竹とんぼからブルートレインまでデザインを手がけた秋岡の幅広い興味が伺える話だ。
そのものづくりの舞台として、対話の場、ものづくりの場としてかつての日本人にとっては馴染みの深い「土間」を再発見したという。土間に関しては本展のタイトルにもなっており、晩年自宅の土間で竹とんぼを制作したという経歴もユニークだ。

ここらあたりは手仕事、クラフトの良さが見直されている現在の気分と通じるところがあるのではないだろうか。'80年代以降は地方のものづくり、とくに木工に着目し、地域社会における生産者の存在に着目した。戦後の工業製品の発達に尽力しながら、それが逆に画一的な社会を生んでしまうというパラドックスに陥りながらも、諦めることなく真摯にデザインに取りくんできた秋岡氏の姿勢には共感をおぼえる。早い時期から使い捨て社会に対し、警鐘をならした秋岡が示した「愛用者」という言葉の意味をいま一度考えてみたい近ごろ。



DOMA秋岡芳夫展 モノへの思想と関係のデザイン
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Design, Real Landscapes.
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建築家特集などの記事でお世話になっているweb magazine OPENERSにてblogを始めています。タイトルは「Design, Real Landscapes」。デザインや建築の最新情報から、日常の気づきなどを写真とともに綴ります。ご期待ください。

「Design, Real Landscapes」
http://t-kato.blog.openers.jp/





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